ID番号 | : | 03009 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本土地改良株式会社事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 配ぜん人紹介業者から紹介された勤務先で交通事故の被害にあった求職者が、右紹介業者、勤務先会社を相手どって安全配慮義務違反の責任を問題とした事例。 |
参照法条 | : | 民法415条 職業安定法32条 職業安定法5条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任 |
裁判年月日 | : | 1987年1月30日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和60年 (ワ) 11705 |
裁判結果 | : | 一部認容(控訴) |
出典 | : | 時報1226号77頁/タイムズ632号202頁/労働判例498号77頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕 (一) 被告Y1会社は、労働大臣の許可を得て、配ぜん人の職業紹介事業を営む者であること、右職業紹介事業は、配ぜん人に関する限り、申込の内容が法令に違反する等の場合以外は、いかなる求人及び求職の申込についてもこれを受理しなければならないこととされ、また、職業紹介を行うに当たって所定の手数料以外にいかなる名義でも手数料又は報酬を受けないこととされていること、そして、右手数料は、申込を受理した場合に、申込者から一件につき四〇〇円、就職が決定した場合に、賃金が支払われた日以降に求人者から支払われた賃金の一〇〇分の一〇を受領することとされていること、 (二) 亡A及び被告Y2は、被告Y1会社の紹介により、昭和六〇年七月二〇日から被告Y3会社に配ぜん人として雇用され、宿泊所と被告Y3会社との間を、同じく被告Y1会社の紹介により被告Y3会社に配ぜん人として雇用されたBとともに、被告Y3会社の従業員の運転する事故車両で送迎を受けて稼働していたところ、本件事故の前日、被告Y3会社の従業員が運転をしなかったため、事故車両をB屋が運転して宿泊所へ帰り、翌朝(本件事故当日)、事故車両をB屋が運転して亡A及び被告Y2らを同乗させて宿泊所を出発したが、途中で被告Y2が替わって運転中に本件事故が発生したこと、 以上の事実が認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 2 右の事実に、職業安定法第五条第一項に「この法律で職業紹介とは、求人及び求職の申込を受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっ旋することをいう。」と規定されていて、職業紹介が、同条第五項にいう「労働者の募集」及び同条第六項にいう「労働者供給」と区別されていることを勘案すると、被告Y1会社は、求人者である被告Y3会社と求職者である亡A及び被告Y2との間の雇用関係の成立を斡旋したにすぎないものといわざるをえず、亡A及び被告Y2と被告Y1会社の間に雇用契約が成立し、あるいは、その間に実質的にみて雇用関係と同視しうるような支配関係が存在したものと認めることはできないから、畢竟、被告Y1会社は、亡Aに対し雇用契約上の安全配慮義務を負うことも、また、被告Y2の過失による本件事故につき、民法第七一五条の規定に基づく使用者責任を負うこともないものといわざるをえない。 |