ID番号 | : | 03019 |
事件名 | : | 退職金等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本ビー・ジー・エム・システム事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 従業員兼取締役として勤務していた者が取締役退任と同時に解雇されたとして退職金の支払を請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3章 労働基準法89条1項3号の2 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 退職慰労金 |
裁判年月日 | : | 1987年2月25日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (ワ) 10864 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例497号129頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-退職金-退職慰労金〕 被告会社は、原告に支給する金員につき、取締役就任後も引続き全額を給与として給与明細書及び給与所得源泉徴収票を発行しており、また、役員報酬算定基準においても、原告の取締役就任当初は各取締役に支払われる金員の総額を定めるのみであったが、昭和五七年度以降は役員報酬分と従業員給与分とを分別して定め、原告に支払われる金員は、昭和五九年度は全額が従業員給与分とされ、昭和五八年度は役員報酬分が八万九〇〇〇円、従業員給与分が五八万円とされていたことが認められる。 更に、雇用保険に関しても、(証拠略)並びに原告本人尋問(第一回)の結果によれば、昭和五五年五月ころ、当時の被告会社の総務部長が飯田橋公共職業安定所に相談に行って従業員兼取締役にも被保険者資格がある旨聞いて来たため、被告会社は、昭和五八年一月二六日、「原告は権限、収入及び服務状態から見て従業員として被保険者資格を有する者であることを証する。」旨の念書を同職業安定所長に提出し、原告は再び雇用保険の被保険者となるに至ったこと、原告の取締役退任後、被告会社は「原告は従業員兼役員であるところ、役員任期満了に伴い、会社都合により離職した。」旨を記載した離職証明書を発行していることが認められる。 以上の各事実を総合すれば、原告は取締役就任後も従業員たる地位を有していたものといわざるを得ず、これを前記1と整合的に解釈すれば、原告は、取締役就任時、一旦退職するとともに新たに従業員たる地位を取得したものと認めるのが相当である。 (中略) 1 (証拠略)によれば、被告会社の退職金支給規程には、「【1】勤続一年以上の従業員が退職した時(ただし、懲戒解雇の場合は除く。)は、会社都合、自己都合を問わず退職金を支給する。【2】右退職金の金額は、退職時の本給月額に、勤続年数二〇年未満の場合はその年数を乗じた額、二〇年以上の場合はその年数及び一・一を各乗じた額とする。【3】右退職金は、退職の日から一週間以内に支給する。」旨の定めがあることが認められる。 2 右退職金支給規定によれば、原告が、前記三記載の解雇により、被告会社に対し退職金請求権を有するに至ったことは明らかである。 |