全 情 報

ID番号 03023
事件名 業務命令効力停止仮処分申請事件
いわゆる事件名 国鉄福知山局人材活用センター事件
争点
事案概要  国鉄職員の人材活用センターへの配属命令が人事権の濫用にあたるとして、右命令の効力を仮に停止する旨の決定がなされた事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠
配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用
裁判年月日 1987年2月26日
裁判所名 京都地福知山支
裁判形式 決定
事件番号 昭和61年 (ヨ) 32 
裁判結果 認容
出典 労働判例493号37頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令の根拠〕
〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕
 一 前示のとおり、申請人らは、同意をせずに人材活用センターに発令されたものであるが、被申請人は職員に対し人事の権限をもっており、申請人らの同意のない本件発令が当然に無効というものではない。
 しかしながら、本人に事前の説明をせず、本人の同意なしに人事発令をするには、それだけ被申請人の業務上の必要性、有用性があり、かつ申請人の技能、勤務実績等の個別の事情からして正当として是認できるものでなければならない。
 二 しかしながら、本件各人材活用センターにおける作業内容が前示認定のとおりであり、その必要性、有用性が必ずしも明らかでなく、申請人らの有する専門分野の技能が活用されておらず、職種転換の意義が明らかでなく、多数の職員の中からあえて申請人らを発令する理由が明らかでないのであるから、本件発令は人事権の濫用であり、無効と解するのが相当である。よって、本件仮処分の被保全権利が認められる。
 三 前示のとおり、昭和六一年一一月一日からの電化開業に伴い、申請人らの従前の業務内容は変容して来ており、申請人らの如き専門分野の現業職員にとって、変容する作業現場から引き離されるのは看過できない不利益であり、緊急な救済を必要とするものと解される。よって、本件仮処分の保全の必要性がある。