ID番号 | : | 03029 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 帝都自動車交通事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 乗車拒否、それに対する東京タクシー近代化センター指導員による指導の無視等を理由とする解雇が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 解雇(民事) / 解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1987年3月18日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和61年 (ヨ) 2327 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労働判例501号56頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 新堀亮一・昭和62年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊677〕396~397頁1988年12月 |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕 (二) 以上の事実によれば、申請人は、本件現場において客の乗車申込みを受けたのにこれを拒否し、その際に行われた近代化センターの指導員の指導に従わなかったものであると推認することができ、さらにこのような事実について被申請人に対して虚偽の申告を行ったものということができる。 (中略) 2 そうすると、申請人の行った行為は、被申請人が定める就業規則六条の「会社の信用と名誉を傷つける行為をしてはならない。」(一号)、「虚偽の報告または申告をしてはならない」(四号)及び同条七号において守るべきことを定めている運転者服務規定七条の「誠実に勤務すること。会社の信用と名誉を重んじ従業員として不名誉になる行為をしないこと。虚偽の報告、申告をしないこと。故なく乗車拒否をしないこと。」(以上の各規定が被申請人において定められていることは疎明資料からこれを認めることができる。)に違反するものであるということができる。 〔解雇-解雇権の濫用〕 2 そして、申請人については前記のように解雇の理由とされた事実があるところ、この事実の態様や違反の程度、申請人のこれに対する対応状況、更にタクシー会社及びタクシー運転手が運送事業に従事する者として乗車拒否等を行わないことが社会的な要請とされていることその他一切の事情をしん酌すると、申請人が行った右の行為について、被申請人が被申請人の就業規則五八条六号に定める「その他やむを得ない必要がある時」に該当するものとして解雇したことは、他の同種違反事例における違反態様や処分内容に照らしてみても不当に重い処分であるということはできないというべきである。そして、他に被申請人が行った本件解雇が解雇権を濫用したものであることをうかがわせるに足りる疎明資料はない。 |