全 情 報

ID番号 03032
事件名 雇用契約上の地位確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 平安閣事件
争点
事案概要  期間を一年とする雇用契約が期間満了の都度更新されてきた場合において、実質においては期間の定めは一応のもので、格別の意思表示がない限り当然更新するとの前提であり、特段の事情による契約終了のみ認められるが、本件では会社側が期間満了のみ主張するので、なお雇用契約は存続しているとされた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法21条
民法628条
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 1987年3月25日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ネ) 2116 
裁判結果 棄却(上告)
出典 時報1246号139頁/労働判例506号15頁/労経速報1311号10頁
審級関係 上告審/03101/最高二小/昭62.10.16/昭和62年(オ)871号
評釈論文
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 右認定の事実によると、本件雇用契約を期間の定めのない契約ないしはその定めのない契約に転化したものと解することはできないものの、実質においては、期間の定めは一応のものであって、いずれかから格別の意思表示がない限り当然更新さるべきものとの前提のもとに、雇用契約が存続、維持されてきたものというべきであるから、期間満了によって本件雇用契約を終了させるためには、雇止めの意思表示及び剰員を生ずる等従来の取扱いを変更して雇用契約を終了させてもやむを得ないと認められる特段の事情の存することを要するものと解するのを相当とするところ、控訴人は、期間満了を主張するのみであって、被控訴人らに対し雇止め(契約更新拒絶)の意思表示をしたことないしは右特段の事情の存することにつき何ら主張立証しない(右意思表示、特段の事情の存在を認めるに足りる的確な証拠もない。)から、控訴人の抗弁は理由がなく、被控訴人らと控訴人間の雇用契約は控訴人主張の期間満了により終了することなく、なお存続しているものというべきである。