全 情 報

ID番号 03042
事件名 時間外賃金請求事件
いわゆる事件名 徳洲会事件
争点
事案概要  人事第二課長として主として看護婦の募集業務に従事していた者が労基法四一条二号の管理監督者の地位にはなかったとして、時間外・休日・深夜労働にかかる割増賃金を請求した事例。
参照法条 労働基準法37条
労働基準法41条2号
体系項目 労働時間(民事) / 労働時間・休憩・休日の適用除外 / 管理監督者
裁判年月日 1987年3月31日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (ワ) 5738 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1290号3頁/労働判例497号65頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働時間-労働時間・休憩・休日の適用除外-管理監督者〕
 ところで、労働基準法四一条二号のいわゆる監督若しくは管理の地位にある者とは、労働時間、休憩及び休日に関する同法の規制を超えて活動しなければならない企業経営上の必要性が認められる者を指すから、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にあり、出勤、退勤等について自由裁量の権限を有し、厳格な制限を受けない者をいうものと解すべきところ、右認定の原告の被告における地位、職務権限の内容、労働時間の決定権限、責任手当・特別調整手当の支給の実態等からみると、原告は、被告における看護婦の採否の決定、配置等労務管理について経営者と一体的な立場にあり、出勤、退勤時にそれぞれタイムカードに刻時すべき義務を負っているものの、それは精々拘束時間の長さを示すだけにとどまり、その間の実際の労働時間は原告の自由裁量に任せられ、労働時間そのものについては必ずしも厳格な制限を受けていないから、実際の労働時間に応じた時間外手当等が支給されない代わりに、責任手当、特別調整手当が支給されていることもあわせ考慮すると、原告は、右規定の監督若しくは管理の地位にある者に該るものと認めるのが相当である。
 従って、原告が、その主張のように別表(一)記載のとおり就労し、時間外労働及び休日労働に従事しても(なお、出張業務については、労働基準法施行規則二二条により通常の労働時間労働したものとみなされ、時間外労働は成立しない)、同法四一条により、同法三七条の時間外及び休日労働に関する割増賃金の規定の適用が除外されるから、これによる割増賃金の請求権は発生せず、また、原告が右認定のように監督若しくは管理の地位にあり、とりわけ自己の労働時間をその自由裁量により決することができ、包括的な時間外手当(深夜労働を含む)の趣旨で前認定の特別調整手当が支給されていることを考慮すると、同法三七条の深夜労働による割増賃金の請求権も発生しないというべきである。