ID番号 | : | 03056 |
事件名 | : | 強制執行停止事件 |
いわゆる事件名 | : | アサヒ三教事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 解雇に伴う賃金仮払仮処分の決定に基づき仮払金を支払うにあたって使用者が所得税を控除したことに対して、債権者が右控除分を賃金未払であるとして請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3章 所得税法183条1項 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 無効な解雇と賃金請求権 |
裁判年月日 | : | 1987年6月9日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和62年 (モ) 3282 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 時報1236号153頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 石渡哲・判例評論350〔判例時報1263〕215~220頁1988年4月1日 |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金請求権の発生-無効な解雇と賃金請求権〕 地位保全の仮処分決定に基づいて解雇後に支払われる金員は、解雇が無効であるとの疎明がなされ暫定的であるとはいえ雇用関係が従前どおり継続するものとして、即ち労働力の提供と賃金の支払いとが対価関係にある契約が存続し、ただ労働力の提供を使用者において受領遅滞しているに過ぎないものとして金員の支払いを命ずるのであるから、支払われた金員は賃金である。そこで、使用者は任意で仮処分に定められた金員の支払いをする時には、右の私法上の義務とは別に負担している国法上の義務である源泉徴収義務(所得税法第183条第1項)に基づいて、このなかから所得税相当額を控除しなければならない。しこうして、使用者は所得税相当額を控除した金額を支払えば、被使用者に対しても債務の全部を履行したと解することが出来る。 |