ID番号 | : | 03063 |
事件名 | : | 免職処分無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 国鉄甲府駅事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 勤務時間中の職場離脱、助役に対する暴言・暴行等を理由とする国鉄職員に対する懲戒解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 日本国有鉄道法31条1項1号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の限界 |
裁判年月日 | : | 1987年6月29日 |
裁判所名 | : | 甲府地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和57年 (ワ) 341 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例500号55頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-上司反抗〕 2 右認定したところによれば、原告は勤務時間中三回にわたり上司に無断で自己の職場である小荷物室を離れ出札室に赴きその助役に対し執拗に交渉を迫り業務を妨害し暴言を吐いたうえ暴行を加えたものである。かかる行為は、少なくとも、被告の就業規則(成立に争いのない乙第1号証)六六条一号、六号、一五号、一七号に、同職員管理規程(成立に争いのない乙第2号証)四一条一号、六号、一五号、一七号に規定する懲戒事由に該当するものというべきである。 〔解雇-解雇事由〕 国鉄法三一条一項及び同項一号の業務上の規程である被告の就業規則によれば、懲戒処分は、免職、停職、減給、戒告の四種類とされている。このうち、具体的にどの処分を選択するかの基準を定めた規定はなく、懲戒権者である被告の総裁の裁量に一応委ねられていると解するのが相当である。しかしながら、免職処分については、他の懲戒処分と異なり、職員としての地位を失わせるという重大な結果をもたらすものであるから、その裁量の範囲も無制限ではなく、処分の対象となった行為の動機、態様、結果、当該職員の行為前後の態度及び処分歴等の諸事情に照らし、免職処分が当該行為との対比において甚だしく均衡を失し、社会通念上合理性を欠くと考えられる場合には、右免職処分は裁量の範囲を超え違法となるものというべきである。 〔解雇-解雇事由-上司反抗〕 以上検討した諸般の事情を考慮すると、原告の被告職員としての身分を失わしめる本件懲戒処分は、その原因となった行為等との対比において甚だしく均衡を失し、社会通念上合理性を欠くものといわざるを得ない。従って、本件処分は、懲戒権の裁量の範囲を超えた違法なものとしてその効力を有しないものというべきである。 |