ID番号 | : | 03067 |
事件名 | : | 雇用契約確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪トヨペット事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 顧客と共謀して保険会社から保険金を詐取したことを理由とする自動車販売会社営業所長に対する懲戒解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 労働基準法20条1項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為 解雇(民事) / 解雇予告 / 解雇予告の方法 |
裁判年月日 | : | 1987年7月6日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (ワ) 188 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1298号3頁/労働判例502号62頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇予告-解雇予告の方法〕 原告は昭和五八年一〇月二五日処分保留のまま釈放となり、その後まもなく再び被告の下に出社するようになったこと、被告は、後記の事情で原告が本件犯罪を犯したことにつき確信を抱いており、原告に対し再々にわたり退職届の提出等を促したが原告は無実を主張してこれに応じなかったこと、そこで被告は前記のとおり懲戒解雇の意思表示をすることとなったが、その際原告の右態度から、原告が解雇予告手当を受領しないことが推認されたため原告に対し現実に右手当を提供することはせず、右手当として算出された三四万七三九四円の弁済の準備をなしたることを通知してその受領を催告したことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。 右の事実によれば、被告は、解雇予告手当の提供につきいわゆる現実の提供はしなかったもののいわゆる口頭の提供を適法にしたことが認められるものであり、本件解雇につき労基法20条違反の事実は存しないものである。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕 原告は、被告の営業所所長として部下に範を示すべき地位にありながら、その地位、知識を悪用して、訴外Aらの強い働き掛けがあったにせよ、未収金を回収して自己の営業成績を上げる等の目的で、被告が保険代理店をしている訴外保険会社を欺罔して、同社から一三六万余円の多額の保険金を騙取したものであり、右のような地位にある原告が本件犯罪を犯したことは、訴外保険会社と被告との間において被告の名誉、信用を毀損したのみならず、右の事実及びこれにより原告が逮捕等された事実が新聞等に報道されたことにより広く社会との関係でも被告の名誉、信用が著しく毀損されたこと、また原告は、釈放後自己の無実を主張して何ら反省の態度を示さなかったこと(もちろん被害弁償等はしなかった)が認められるものであり、したがってこのような原告に対し、被告が当該就業規則を適用してなした本件解雇は相当なものと解すべきである。 |