ID番号 | : | 03073 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | エッソ石油事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 営業本部の機構改革にともなう担当業務内容の変更命令につき、団体交渉による処理を主張してこれを拒否しつづけた組合役員に対する懲戒解雇が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1987年7月17日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和62年 (ヨ) 1454 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労経速報1299号3頁/労働判例502号34頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 納谷肇・昭和62年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊677〕374~375頁1988年12月 |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令の根拠〕 しかし、本件人事異動は、勤務地の変更を伴うものではなく、業務分担の変更にすぎないから「転勤」とはいえず、したがって、被申請人は本件人事異動についてス労支部と協議すべき義務はないというべきところ、被申請人とス労支部との間で昭和五六年一一月二四日、同年一二月一四日、翌五七年一月一八日の三回にわたり、機構改革を議題とする団体交渉が開催されたが、ス労支部は一貫して「機構改革について、ス労支部に対し、事前通告がなかったこと、機構改革は人員削減や労働条件の強化をもたらす。」旨を主張するのみで、申請人の人事異動につき、具体的な労働条件の変更について協議しようとしておらず、これに対して、被申請人は「ス労支部組合員について重大な労働条件の変更があるのなら、その事について具体的に団体交渉を申込むべきである。」旨主張して、以後具体的な主張をしようとしないス労支部との交渉をしていない。 機構改革は全社的なものであるから、機構改革それ自体については本店とス労本部との団体交渉ですべきものと解され、支店においては機構改革の内容について説明をするこはできてもその改廃についての権限はないものと考えられるから、機構改革により組合員の具体的な労働条件に変更のある場合について団体交渉をすれば足りると解される。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 4 申請人は「業務命令(本件人事異動)の拒否は不当な組合活動であった。」旨主張するが、申請人はス労本部から業務命令拒否指令についての解除指令があったにもかかわらず、これに従わず、一貫して機構改革について労使間で合意が成立しない以上業務命令に従わないとの態度をとり続けたものであり、業務命令の拒否が正当な組合活動とはいえない。 5 申請人は、「本件懲戒解雇は、被申請人においてス労支部及び申請人の組合活動を嫌悪して申請人の業務命令拒否を口実に不利益を課し、ス労支部を弱体化することを企図してなした不当労働行為であり、また、解雇権の濫用である。」旨主張するが、これを認めるに足る疎明資料はない。」 なお、ス労支部において、申請人に対する昭和五七年六月二三日付出勤停止が不当労働行為であるとして、大阪府地方労働委員会に対して救済申立をした同年七月八日から数日後の同月一四日付で本件懲戒解雇がなされたことをもって、直ちに本件懲戒解雇が右救済申立に対する報復措置であると認めることもできない。 6 右一ないし五の事情からすると、申請人の業務命令拒否は、「職務上の指示命令に従わず、職場の秩序をみだしたとき」(就業規則六一条(三))にあたり、しかも、「特に情状が重いとき」(同六二条(一〇))に該当するというべきであるから、本件懲戒解雇は相当であり、有効であるといわなければならない。 |