ID番号 | : | 03080 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | アヅミ事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 配転命令を正当な理由なく拒否したなどとして懲戒解雇された従業員がその効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1987年8月21日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和62年 (ヨ) 1139 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働民例集38巻3・4号550頁/タイムズ657号90頁/労働判例503号36頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 仮処分命令は必ずしも慎重な証拠調べを経て発令されるものではなく、しかも疎明のみで足りるのであるから、一般的に先行する仮処分に後行仮処分への訴訟法上の拘束力を認めることには疑問がある。先行する仮処分が任意の履行を期待する仮処分である場合には、特にその疑問は大きい。 (5) しかし、適切な審尋を経たうえで配転の効力を停止する仮処分が出された場合には、右配転命令を拒否したことを理由としてなされた懲戒解雇は、その中身の判断に入るまでもなく、懲戒権の濫用として無効になると解するのが相当である。けだし、審尋によつて争う機会が与えられた当事者は、さらに異議を出して争う機会もあるのであるから、出された仮処分について、仮処分制度の趣旨にも鑑みて、本案確定までの間、あるいは異議訴訟で勝訴するまでの間、できる限りこれを尊重し、少くともその趣旨に反する行動をとつてはならないとの信義則上の義務が生じていると解することが可能であるし、また、もし、先行する配転効力停止の仮処分にもかかわらず、配転拒否を理由として自由な解雇が許されるとすれば、使用者側にのみ当該配転の効力について二度争う機会を与えることになって、極めて不公平な結果を生じることになるからである。 (6) よつて、本件においては、疎明資料によれば、第一次仮処分の手続において、口答弁論を開いて証人調べをなすなどはなされていないものの、一応適切な審尋がなされていることが明らかであるから、Aに対しては、A配転命令を拒否したことを理由として懲戒解雇をすることができないことになる。 |