全 情 報

ID番号 03082
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 長崎生コンクリート事件
争点
事案概要  大村工場から小浜工場へのトラック運転手の配転が不当労働行為にあたるとして使用者に不法行為に基づいて損害賠償の支払いが請求された事例。
参照法条 労働基準法2章
労働組合法7条1号
民法709条
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用
裁判年月日 1987年8月24日
裁判所名 長崎地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ワ) 234 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例506号94頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕
 本件配転に関しては、既に地労委において、本件配転は原告らの受ける不利益に比較してその必要性ないしは合理的理由に乏しく、結局、被告会社が不況対策を口実に原告組合(第一組合)員を転勤させることによって不利益を与え、ひいては原告組合の組織運営に介入してこれを弱体化させる意図をもって行われたものと認めざるを得ないものとされ、さらに、地裁においても、同様に、被告会社は、原告組合が従前争議行為を多発させたことに少なからぬ嫌悪感情を有し、その結果、第二組合、第三組合が分裂して組織されるに至ってからは、原告組合に疎外的態度をとっていたところ、本件配転の必要性はいまだ相対的なものにとどまっていたのに、不況対策を口実に、原告組合の弱体化を図る意図のもとに、原告X1及び原告X2が原告組合の組合員であることを主たる理由として転勤対象者に選任し、本人の意思に反して過去に例のない配転を行ったものと認定されていることが認められる。しかして、(証拠略)を総合すると、右各認定及び判断は、いずれも正当であると認められ、これを左右するに足る証拠はない。
 そうすると、本件配転は、労働組合法七条に反し、労働組合の弱体化を図り、これに対する支配介入の意図をもってなされた不当労働行為であると共に、団結権を侵害し、公の秩序に反するものであって原告組合に対する不法行為を構成するものというべきである。そして、同時に、本件配転は、組合員であることを理由として個々の組合員に対し不利益を及ぼすものであるから、原告X1及び原告X2に対する関係でも不法行為を構成するというべきである。