ID番号 | : | 03092 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本鋼構造協会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 公益・非営利目的の権利能力なき社団において組織の維持のために行われた整理解雇につきその効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3章 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の要件 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇基準・被解雇者選定の合理性 |
裁判年月日 | : | 1987年9月16日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和61年 (ヨ) 2310 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 時報1258号132頁/タイムズ652号151頁/労働判例504号20頁/労経速報1304号19頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-整理解雇-整理解雇の要件〕 右認定事実によると、本件運営改革は、被申請人の活動が設立当初と比較して会員の期待・要望に応えることのできない組織体となっており、会員からもその点についての批判が強く寄せられていたところ、昭和六〇年秋以降の急激かつ大幅な円高によって主力会員が深刻な経営危機に陥ったことを契機に被申請人に対する不満が一挙に脱会等の行動に出るに及び、被申請人は存立の危機に直面し、そこで、この事態を回避するために緊急かつ不可避的な措置としてなされたものであったということができる。してみると、本件運営改革によって事業部門が縮少される以上、この部門担当職員は余剰人員とならざるをえないのであり、被申請人のように会員の会費を経済基盤としている公益、非営利目的の社団にあっては営利企業のように他にその事業活動を展開することもできないのであるから、余剰人員を解雇対象者とせざるをえないのも必然的な措置であったということができる。 〔解雇-整理解雇-整理解雇基準〕 まず、本件解雇基準についてであるが、本件疎明資料によれば、被申請人は、本件解雇基準として基本的には縮少事業部門担当者とし、これに従前の勤務状況、被申請人に対する貢献の度合、今後の期待度等を考慮して行うこととしたことを一応認めることができる。 申請人らは、その報告書中で本件解雇は申請人らを差別的意図的に排除するために設定されたものであるとか、男女差別を理由とするものであるなどと陳述するが、これらはいずれも被申請人提出の疎明資料と対比して信用することができない。 他に右認定を左右するに足りる疎明はない。 してみると、本件解雇基準はそれ自体に何ら不合理な点はないということができる。 |