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ID番号 03112
事件名 労働契約上の地位確認請求控訴事件/同附帯控訴事件
いわゆる事件名 日産自動車事件
争点
事案概要  自動車会社の生産体制の変更により工場の車軸製造部門を大幅に他工場に移転することに伴ない同部門の労働者を従前の工場の新型車種製造部門のコンベアーラインに配転したのに対して、その効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用
裁判年月日 1987年12月24日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ネ) 965 
昭和61年 (ネ) 2679 
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労働民例集38巻5・6合併号681頁/労働判例512号66頁/労経速報1312号3頁
審級関係 一審/03732/横浜地/昭61. 3.20/昭和56年(ワ)2130号
評釈論文 鎌田耕一・労働法律旬報1196号44~49頁1988年7月25日/新谷眞人・季刊労働法147号206~207頁1988年4月/畔柳正義・昭和63年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊706〕364~365頁1989年10月/保原喜志夫・ジュリスト949号140~143頁1990年2月1日
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕
 前示のように、控訴人は、業務運営上必要がある場合には、その必要に応じ、被控訴人らに対してその個別的同意なしに職種の変更を命令する権限を有するものと認めるべきである。もとより、労働者にとつて、職種の如何は就労場所等とともに重要な労働条件をなすものであり、殊に本件のように長年従事してきた職種を変更するときは労働者の利益に重大な影響を与えることになるから、職種変更の命令権は安易に行使すべきものではなく、これを濫用することが許されないことはいうまでもないところであるが、雇用契約において職種変更命令権が留保された趣旨に照らせば、職種変更を行うことが企業の合理的運営に寄与するなど当該職種変更命令を発するについて業務上の必要性が存在し、かつ、その命令が他の不当な動機、目的をもってなされたとか、又は労働者に対して通常受忍すべき程度を著しく超える不利益を負わせることになるなどの特段の事情がない限りは、当該職種変更命令は権利の濫用になるものではないというべきである。