ID番号 | : | 03148 |
事件名 | : | 損害賠償請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 自衛隊員白血病事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | X線取扱業務に従事していた自衛隊員が、退職後に白血病で死亡したケースで国の安全配慮義務違反を問題とした事例。 |
参照法条 | : | 民法415条 民法1条2項 民法166条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任 |
裁判年月日 | : | 1983年2月24日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和54年 (ネ) 3076 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 時報1073号79頁/東高民時報34巻1~3号16頁/タイムズ496号100頁/訟務月報29巻8号1509頁 |
審級関係 | : | 一審/03324/東京地/昭54.12.21/昭和50年(ワ)6520号 |
評釈論文 | : | 新美育文・法律時報55巻9号143頁 |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕 具体的安全配慮義務は公務員が国若しくは上司の指示のもとに具体的公務の遂行に際し発生し、公務員はその履行を請求しうるものであり、右具体的安全配慮義務は性質上それが履行されるときはそれにより消滅し、損害賠償債務は発生しないが、右具体的安全配慮義務が履行されなかったときは、債務不履行による損害賠償債務が転化発生し、以後これを請求しうることとなるものである。したがって、右具体的安全配慮義務不履行に基づく損害賠償債務は具体的公務の遂行が終了し、右具体的安全配慮義務が右損害賠償債務に転化したときから一〇年間を経過すれば、消滅時効により消滅するものといわなければならない。右本来の債務者及び債務の内容は契約関係上明らかなのであるから、もともとこれが存しない場合の規定たる民法七二四条を類推適用すべき余地はなく、また、控訴人ら主張のとおり右損害賠償債務につき損害が客観的に現実化しこれを知った時から消滅時効が進行を開始し一〇年間の経過をもって時効消滅すると解することは、不法行為による損害賠償請求権との均衡を失するばかりでなく、時効制度の趣旨にもそわないので、これを採用することができない。 |