ID番号 | : | 03161 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 航空自衛隊第二航空団事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | ジェット戦闘機による攻撃訓練中に墜落事故により死亡した場合につき、国に安全配慮義務違反はないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法415条 国家賠償法1条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任 |
裁判年月日 | : | 1983年6月28日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和55年 (ワ) 4644 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | タイムズ508号129頁/交通民集16巻3号871頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕 3 安全配慮義務違反による責任(1)スピードブレーキ系統の整備、点検、修理時の不履行の有無について 被告が事故機について充分な整備、点検、修理等を実施していたこと及び事故機のスピードブレーキ系統に故障が発生したことの証明がないことは、それぞれ前記二4及び三1に認定説示のとおりである。したがって、被告が右整備、点検、修理等を充分に実施する義務を怠ったため、スピードブレーキに故障が発生したことが本件事故の原因であることを前提として、被告にはスピードブレーキ系統の整備、点検、修理等の実施上、安全配慮義務の懈怠があつた旨の原告らの主張は、その前提を欠き失当である。 (2) 飛行運用上の過失の有無について(1)原告らは、事故機が墜落した地点においては、乱気流が生じてかなり強い下降気流があり、右下降気流のため事故機の高度計は実高度よりかなり高い高度を示していたうえ、スピードブレーキを使用して降下してきたため機速がかなり低下し、揚力もかなり減少していたと考えられるので、事故機は乱気流に巻き込まれて操縦不能となったか高度を失って墜落したものと思料されるところ、被告は、亡Aに対し気象状況をブリーフィングせず、対地高度も慢然と二〇〇〇ないし三〇〇〇フィートと設定した点において安全配慮義務の懈怠があった旨主張する。 (中略) (6) 以上の検討結果によれば、原告らが指摘する、気象状況のブリーフィングの実施及び適切な訓練高度の設定の各点について、被告に安全配慮義務違反があったとすることはできず、他に本件事故が被告の安全配慮義務違反によって発生したものとするに足りる事実関係を肯認すべき資料もないから、原告らの前記安全配慮義務違反に関する主張はこれを採用することができない。 |