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ID番号 03168
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 日本陶料事件
争点
事案概要  陶磁器原料の制造工程に従事していた労働者がじん肺にかかったのは使用者の安全配慮義務違反によるものであるとして、使用者に損害賠償を請求した事例。
参照法条 民法415条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1983年10月14日
裁判所名 京都地
裁判形式 判決
事件番号 昭和52年 (ワ) 1605 
裁判結果 一部認容(控訴)
出典 時報1114号75頁/タイムズ519号196頁/労働判例426号64頁
審級関係
評釈論文 崎間昌一郎・労災職業病の企業責任〔労災職業病健康管理【1】〕102頁
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕
 雇傭契約の下においては通常の場合労働者は使用者の指定した労務供給場所に配置され使用者の提供した設備、機械、器具等を用いて労務供給を行うものであるから、雇傭契約に含まれる使用者の義務は報酬支払に尽きるものではなく信義則上右諸施設から生ずる危険が労働者に及ばないよう労働者の安全に配慮する義務も含まれるものと解するのが相当である。
(中略)
 右事実によると、被告会社は原告を雇用した後旧工場において十分な防じん設備をせず著しく劣悪な環境のもとで継続して同人を稼働せしめ、新工場に移転後は相当改善されたもののなお不十分な設備の下において同人を配置転換することもなく終始粉じんの激しいフレット又はクラッシャー工程作業に従事させていたのであり、被告会社は従業員である原告に対し作業環境が健康に害を与えることがないよう良好な状況の下で就労させ健康を害したとみられたときはその悪化を防ぐため直ちに他工程に配置転換するなどして労働者の健康保持に注意すべき義務があったのにかかわらずこれを怠りその結果原告を治療不能な重度のじん肺に罹患させたものといえるから、右義務の懈怠により原告に生じた損害を賠償すべき義務があるものというべきである。