ID番号 | : | 03173 |
事件名 | : | 地位保全等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 聖マリア学園事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 椎間板ヘルニアにより病気休職をしていた中学校体育教師に対する復職拒否につき、すでに就労可能な状態にあり右復職は違法とし、休職措置の付着しない労働契約上の地位が仮に認められた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 休職 / 休職期間中の賃金(休職と賃金) 休職 / 傷病休職 |
裁判年月日 | : | 1983年11月26日 |
裁判所名 | : | 横浜地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和58年 (ヨ) 1005 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例424号80頁/労経速報1183号9頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔休職-休職期間中の賃金(休職と賃金)〕 〔休職-傷病休職〕 3 そこで、本件休職措置の効力について案ずるに、被申請人が昭和五八年一月三一日付でなした本件休職措置自体が有効であるか否かの問題はしばらく措き、休職事由の消滅(就労可能)について検討すると、同学院就業規則四〇条一項の規定は、当該職員が、診断書等により職務に従事させることが不能と認められたときに、その意に反して一定の期間職員としての身分を保有したまま就労を禁止された場合に対応して、客観的に休職事由の消滅(就労可能)した場合には、休職期間満了前であっても当然復職が認められるべきことを規定したものであって、その際の復職命令は休職事由の消滅についての確認行為にすぎず、使用者が復職を拒否している場合は、当然復職が認められるべき時間に復職したとみなされるべきであると解すべきところ、前記の事実によれば、申請人の手術後の経過は、その治療及び手術を担当した医師二名並びに術後約六か月後に申請人を診察した医師一名がいずれも手術後の経過は良好と診断しており、前記昭和五八年四月一五日付及び同年七月二五日付の名診断書には体育教師として就労は可能であると判定している(前記各診断結果については、その信用性を疑うに足る疎明資料はない。)こと、申請人の退院後の行動をみると、退院後間もなくは就業可能ではなかったが、昭和五八年三月二三日ころから軽い運動を始めており、その後自ら同学院に赴いて診断書を提出するなど術後約六か月を経過した時点において日常生活上も特に異常はないものと認められること、申請人の体育教師としての職務は、前記の事実のとおりであって、実技中心の授業内容となっているものの、担当教師自体さして過度の運動を要求されるものとまでは認め難く、職務遂行に特に不都合な点は見当らないことを総合すると、申請人は遅くとも術後六か月を経過した昭和五八年七月一八日当時、既に体育教師として就労可能の状況となっていたと認められる。 もっとも、申請人の疾病の性質及び職務内容からして、将来の再発の虞れにつき具体的に確実な予測は困難なものがあるが、その虞れは本件においては未だ一般的、抽象的な虞れにすぎないものであって、右のとおり就労可能の現状にある場合には休職事由の消滅を認めて復職させるのが相当である。 してみると、被申請人が申請人の就労を昭和五八年七月一八日以降拒否しているのは違法の措置であり、申請人が同日以降被申請人に対し本件休職措置の付着しない労働契約上の地位を有すること及び昭和五八年八月以降毎月二五日限り月額金二四万二三八九円の割合による給与支払請求権を有することが一応認められる。 |