ID番号 | : | 03185 |
事件名 | : | 療養補償給付不支給決定取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大内労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | グループを結成して工場を請負い完成した仕事の出来高に応じて注文者からグループ宛一括して報酬が支払われていた板金工の転落事故に関して労災保険の給付申請がなされたところ、労働者にあたらないとして不支給処分がなされたため被災者が右処分の取消を求めた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法9条 労働者災害補償保険法12条の8第2項 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 委任・請負と労働契約 |
裁判年月日 | : | 1982年1月21日 |
裁判所名 | : | 高松地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和56年 (行ウ) 3 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例381号45頁/労経速報1131号22頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-労働者-委任・請負と労働契約〕 認定した事実に照すと、法形式的に、Aらのグループが契約の一方当事者としての資格を有するか否かはともかくとして、これを実質的に考察すると、本件工事に関して訴外会社とグループ構成員個々人との間にそれぞれ労務供給契約が成立したとは認められず、かえってグループが一体として本件工事を引き受け、訴外会社も、また、グループが一体として完成させた仕事の対価として、グループに対し、一定の報酬を支払っていたものとみるべきであり、また労務提供の態様及び過程においても構成員個人に対する拘束性は乏しく、訴外会社からの資材の供給、工事に対する指示も、グループ全体に対して注文者としてなされる程度を越えていないとみるべきであって、訴外会社と各グループ構成員との間に、使用従属の関係を認めることはできない。 もっとも、(証拠略)によれば、グループで使用する電気溶接用発電機の油代とか溶接棒代が出来高に対する報酬とは別途に支給されていること、訴外会社がグループ構成員に対して、年一回程度、ヘルメットや作業服を支給していることが認められ、これらの事実は、通常の請負契約の態様としては変則的なものとは考えられるが、先に詳細に認定した事実関係に照すと、これらの事実のみをもってしては、報酬が各構成員の労働力提供に対する対価であり、訴外会社とグループ構成員との間に使用従属の関係があったとみることはできない。 |