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ID番号 03195
事件名 小学校校務員地位確認等請求控訴事件/同附帯控訴事件
いわゆる事件名 大阪市単純労務職員定年制事件
争点
事案概要  地方公共団体と労働組合との間で締結された定年制協定に基づいて失職扱いとされた単純労務職員が右定年制の効力を争った事例。
参照法条 地方公務員法27条2項(旧)
体系項目 退職 / 定年・再雇用
裁判年月日 1982年6月29日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (行コ) 32 
昭和55年 (行コ) 23 
裁判結果 変更(上告)
出典 労働民例集33巻3号593頁/時報1067号134頁/タイムズ475号149頁
審級関係 一審/大阪地/昭53. 7.10/昭和46年(ワ)5780号
評釈論文 佐野義一・地方公務員月報233号53頁
判決理由 〔退職-定年・再雇用〕
 控訴人は、本件定年制は地公法の制約外であると主張する。しかし、(1)地公法は、地方公務員の任用等の勤務条件、分限及び懲戒その他人事行政の根本基準を確立して地方行政の民主的かつ能率的な運営を保障して地方自治の本旨の実現を目的とする(同法一条)ものであり、同法二七条ないし二九条は右にいう分限及び懲戒に関する根本基準とみられること、(2)公務員法上分限とは、職員の身分保障を前提とした身分上の変動に関する基本的事項すなわち降任・休職・免職・失職等の要件、効果に関する事項を指すものと解され、定年制は、一定の年令に達したことを理由として、職員の勤務能力や意思にかかわりなく失職させる制度であるから、新たな分限事項を定めるものである解すべきであること、(3)現在の公務員制度は、国と地方公共団体を通じて人事行政の根幹にかかわる主要な分限処分、懲戒処分及び失職の事由はいずれも法律で定め、人事院規則や条例によって新たにこれを定めることを許していないと解されること、以上の諸点及び原判決理由の説示を合わせ考えると、地公法二七条ないし二九条は、職員の離職事由及びその種類を法定し、かつ限定しているものと解するのが相当である。
昭和五六年法律第九二号地公法の一部を改正する法律が、地公法第五節「分限及び懲戒」のなかに新たな分限事項として定年制を導入し二八条の二以下の規定を設けたのも以上の見解を前提としているものと解される。
 そして、当審における新たな証拠調の結果によっても以上の判断を左右するものではないから、本件定年制は地公法二七条二項に抵触しその効力はないものといわざるをえない。