ID番号 | : | 03197 |
事件名 | : | 地位保全金員支払仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 泉州学園事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 私立学校のバレーボールの監督をしていた教員が生徒とのわいせつ行為についてうわさがたったため学校より退職を勧められ、一旦退職願を提出したが、後に身に覚えがないとして退職願の撤回を申し入れたことにつき、その可否が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 退職 / 退職願 / 退職願いの撤回 |
裁判年月日 | : | 1982年8月25日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和56年 (ヨ) 4675 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部却下 |
出典 | : | 労経速報1134号12頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-退職願-退職願いの撤回〕 前記認定事実の下においては、申請人による退職願の提出は、被申請人の承諾があれば即時に雇用関係から離脱したいとの趣旨であると認められるから、被申請人との間の雇用契約を合意解約をしたい旨の申込の意思表示と解されるところ、被申請人の就業規則には合意解約に関する規定は直接には存しない(第二八条及び第二九条はいわゆる解約告知に関する規定であると解せられる)が、第一九条に「職員の任用は理事長が行なう」と規定されていることからすれば、仕用のみならず、退職に関しても理事長の権限に委ねられていると解せられる。 ところで、被用者から合意解約の申込みがあった場合の解約の効力は、被用者の申込みに対する使用者の承諾がなされ、かつそれが被用者に到達したときに発生するものと解される。そして、相手方たる使用者において、申込者たる被用者に対し承認の意思表示をなすことによって右合意解約の効力が発生するまでは、それが信義に反すると認められるような特段の事情がない限り、自由に合意解約申込の撤回をすることができると解するのが相当である。 そこで、本件に即して検討するに、前記のように、A理事長は昭和五六年八月一五日に申請人の退職願を受理、承認したものの、申請人が同月二九日A理事長に対して退職願を撤回する旨告げるまでの間申請人に対し右承認の事実を告知した事実は認められず、また、本件全疎明資料を検討しても、申請人の右退職願撤回が信義に反すると認められる特段の事情は見当たらないから、本件退職願は有効に撤回されたというべきである。 |