ID番号 | : | 03250 |
事件名 | : | 転任処分取消請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪府教育委員会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 同和教育をめぐって生じた学校教育の混乱収拾のために、公立中学校教員に対してなされた転任処分につき、四名については裁量権の範囲をこえた違法なものとし、一名については正当とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1980年3月25日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和51年 (行コ) 22 |
裁判結果 | : | 一部棄却・取消(上告) |
出典 | : | 行裁例集31巻3号538頁/時報969号114頁 |
審級関係 | : | 上告審/最高一小/昭61.10.23/昭和55年(行ツ)78号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕 ところで前記大混乱の原因となつたのはA支部の推せんを受けてB中学の教諭となつた控訴人X1が推せんを受けるに際してA支部に差入れた誓約書により採用後の教育活動につきA支部の助言と指導に従うことを約していたにかかわらず、これに反し、A支部の要求する補充学習に出席せず、またB中学での促進学級の設置等にも協力せず、A支部の話合いの要求をも拒否したことによるものであるところ、同控訴人は大混乱中もその後もその態度を変えていないのであるから、同控訴人がB中学にとどまるときは、大混乱発生の原因がそのまま残つていることになり、混乱が続発する可能性が十分予想されるものといわなければならない。したがつて市教委としては混乱続発の可能性がある以上、これを防止するためには、同控訴人をB中学から去らせて混乱続発の原因を取り除くことが最も効果的な措置であり、同控訴人に対する本件転任処分は混乱の続発を回避するためその必要があつたものである。 しかし控訴人X2、同X3、同X4、同X5の本件転任処分については混乱の続発防止のため必要であつたとは認められない。前示のとおり控訴人X2、同X3は従来B中学での同和教育を実践してきたが、同和教育における教師の主体性を重んずる立場から、これを教師に任せておけないとするC支部及びA支部との連携を強調する市教委を批判し、控訴人X4もこれに同調してきている。そして控訴人X5も前示本件混乱に際し控訴人X1を救出しようとしあるいはA支部長Dらを告訴した事実から見られるように控訴人X4と同様控訴人X2同X3に同調してきたものである。したがつて右控訴人ら四名の転任処分は当面の促進学級の設置を含めて市教委の行う同和教育行政が推進され、B中学における教師集団の対立の解消、C支部との関係を円滑にする必要からなされている。しかし大混乱発生の原因は前示のとおり控訴人X1の行為に対してであり、同控訴人がC支部に協力せずまたその要求に応じない態度を取るについては控訴人X2同X3らの行動からの感化があつたことは前認定のとおりであるが、右のような態度を取つたことが、他の控訴人からの示唆又は共謀によるものであるという証拠はない。また控訴人X5のB中学を守る会の会員に対する暴力行為(ただし弁論の全趣旨によつて成立の認められる乙第九、第一〇号証によつても的確には認められない。)、D支部長らに対する告訴、吹教組B中学分会責任者である控訴人X4が有志職員一同として混乱発生の原因についての文書を配布したことはいずれも大混乱中又はその後に派生した問題であつて、大混乱の原因ではない。 |