全 情 報

ID番号 03258
事件名 不当労働行為救済命令取消請求控訴事件
いわゆる事件名 新宿郵便局事件
争点
事案概要  郵便局において無許可で休憩時間中に休憩室を組合集会に使用したことに対する解散通告が不当労働行為にあたらないとした事例。
参照法条 労働基準法34条3項
体系項目 休憩(民事) / 休憩の自由利用 / 自由利用
裁判年月日 1980年4月30日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和47年 (行コ) 44 
昭和47年 (行コ) 45 
裁判結果 破棄・自判(上告)
出典 労働民例集31巻2号544頁/時報966号117頁/タイムズ420号94頁/労働判例340号14頁/訟務月報26巻8号1392頁
審級関係 上告審/最高三小/昭58.12.20/昭和55年(行ツ)101号
評釈論文 橋詰洋三・労働判例350号4頁/橋詰洋三・労働判例354号13頁/瀬戸正義・昭和55年行政関係判例解説177頁/浜田冨士郎・昭和55年度重要判例解説〔ジュリスト743号〕250頁
判決理由 〔休憩-休憩の自由利用-自由利用〕
2 右各集会が開かれた四階年賀区分室付近という所は、会議室と呼ばれており、年賀郵便を区分するために年末年始にかけて使われるのが本来の目的であり、その時期を除いては、職員が平常執務する場所ではなく、いわば予備室的なものであること。
 等の事実を認めることができる。
 被控訴人は、右のごとき年賀区分室付近は、組合集会のため使用するにつき許可願を提出する必要がないと主張するけれども、右六において休憩室の使用につき詳細に説示したところと同じ理由により、右主張は採用することができない。もつとも、年賀区分室付近は、右認定2のように年末年始以外は平常使われていないという点において、休憩室の場合といささか異なるところがあるけれども、これを組合集会のために使用することは、年賀区分室設置の本来の趣旨目的とは遠く隔るものであり、使用の態様も本来のそれと大いに異なるのであるから、結局においては、休憩室の場合と同様に、平常は使われていない年賀区分室付近といえども、許可願を提出して承認を受けた上でなければ、組合集会のためにこれを使用することはできないものというべきである。
 そうすると、右のように許可願を提出しないで開いた四階年賀区分室付近における右各集会は、正当な組合活動に当たるものではなく、したがつて、A庶務課長らが各集会現場に赴き解散するよう通告するとともに、現場にとどまつて組合員が解散するかどうか等を見極めていたことは、組合集会を不当に妨害し監視したこととはなり得ない。また、右六において指摘したように、右解散通告の指示命令に従わないことは、懲戒事由にも該当するのであるから、これを現認したA庶務課長らは上司に報告する義務があり、したがつて、B労務担当主事がその模様(開始・終了の時刻、解散命令を発したか・これに応じたか等)をメモに録取することは、正当な職務の遂行であり、何ら組合集会に対する不当な妨害・監視となるものでもない。