ID番号 | : | 03285 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 海上自衛隊鹿屋航空基地事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 海上自衛隊所属のヘリコプターの墜落による死亡事故につき、国に安全配慮義務違反があるとして、損害賠償請求を認容した事例。 |
参照法条 | : | 民法415条 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任 |
裁判年月日 | : | 1979年3月8日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和50年 (ワ) 6310 |
裁判結果 | : | (控訴) |
出典 | : | 訟務月報25巻7号1743頁 |
審級関係 | : | 控訴審/東京高/ . ./昭和54年(ネ)724号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕 航空機が飛行中事故により墜落した場合、第三者の故意、過失又は予見不能の気象の激変等操縦者、管理者の責に帰すべからざる原因が認められない限り、右墜落に至った事故原因は、本件事故機の整備その他の管理上の瑕疵又は操縦上の過誤、不全が単独ないし競合的に発生したことにあると推定するのが相当である。そして、前記本件事故の経過、及び〈証拠略〉によっても、左旋回以後の事故機の状況は、すべてその直前まで予定された通常の着陸に至る事態の経過を大幅にはずれるものであったが、外部的には、その原因として推定し得るものがなかったこと、しかし正常に進行していた右旋回から左旋回に進路を変更したことについては操縦者の意思の介入があった可能性があるが、その目的性、必要性は稀薄であること、そのことが、直後(約一二秒後)に生ずる一連の異常状態の誘因となった可能性も、約一〇秒前後の間があったとはいえ、事態の連続的推移からみて完全には否定し得ないこと、第一、二回の機首上げ状態から推測される何らかの原因による揚力の急激な低下(発動機の停止、その他の故障は事故後の調査において一応否定されたものと推定される)及びこれを回復するに必要な操縦系統の故障、障害、又は誤操作、操作不全等の可能性が考えられないではなく、これらの点について前記整備上その他の管理の瑕疵または操縦上の過誤、不全が単独ないし競合的に発生した可能性の推定をすべて覆えすに足る資料はなく、前記調査委員会の調査結果もこれを否定し去るものではない。他に本件事故機が整備その他の管理上の瑕疵及び操縦上の過誤不全のいずれにも起因しない他の原因(第三者の故意、過失、予測し得ない天候の激変は弁論の全趣旨により否定される)により墜落したことを認めるに足る資料はない。 よって、本件事故は結局被告の安全配慮義務不履行によって生じたものと認めるのが相当であり、被告は本件事故によって生じた後記損害を賠償する義務があるというべきである。 |