ID番号 | : | 03297 |
事件名 | : | 地位確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 慈恵大学附属病院事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 産後休暇および育児休業を終えて復職した大学附属病院の看護婦につき、産前休暇前と異なる科への配転命令が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法65条 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の限界 |
裁判年月日 | : | 1979年4月24日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和51年 (ワ) 1244 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 労経速報1015号19頁/労働判例325号45頁 |
審級関係 | : | 控訴審/00311/東京高/昭56.12.17/昭和54年(ネ)1154号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令の根拠〕 原、被告間には、原告の専属科目や勤務場所についての特約は全くなかったことが認められる。そうすると、原告は、右採用の際に、その後に行なわれるべき少なくとも本院内での各科や各勤務場所への配置転換については、それが業務上の必要等に基づくものであり、かつ、それを違法または不当とすべき特別の理由のない限り、これに応ずることを少なくとも黙示に承諾していたものと解すべきである。そして、この結論は、仮に原告の外科病棟への配属やその後の本館手術室への配転が原告の希望にそうものであったとしても、そのことのみによって何ら影響を受けるものではない。 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の限界〕 そして、被告大学の附属病院(少なくとも本院)における右3に認定の慣行は、病院の社会的使命や、右1及び2で認定の総婦長の権限、職員等に照らして、客観的な合理性のある慣行であったというべきであり、これを違法または不当とすべき理由は見出しがたい。従ってまた、その慣行に従い原告に対してなされた、右4に認定の本院総婦長室付への配転の措置についても、これを違法または不当とすべき理由は考えられない。 三 そうすると、仮に原告が昭和五〇年三月一五日に産前休暇に入る時点まではその主張のとおりに本院の本館手術室に勤務する権利を有していたとしても、原告は、産前休暇に入ると同時に、右4に認定の本院総婦長室付への配転の措置により、右権利を失うに至ったものというべきであって、その後になされた本件配転命令の効力の有無を問題にするまでもなく、原告はすでに右権利を有しないものといわなければならない。 |