全 情 報

ID番号 03309
事件名 懲戒処分取消等請求事件
いわゆる事件名 大阪陸運局事件
争点
事案概要  陸運局におけるいわゆる出勤簿整理時間である午前八時三〇分から同九時頃までの職場集会は国公法九八条二項の禁止する争議行為であり、右を理由とする戒告処分につき、裁量権を濫用したものとはいえないとされた事例。
 国家公務員に対する出勤簿整理時間は、勤務時間を変更し、あるいは当該時間の勤務を免除したものではなく、労務提供義務を負う時間であるとした事例。
参照法条 国家公務員法82条1号
国家公務員法98条2項
労働基準法32条
労働基準法89条1項9号
体系項目 労働時間(民事) / 労働時間の概念 / 勤務時間(公務員)
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1979年8月30日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和50年 (行ウ) 44 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 行裁例集30巻8号1452頁/時報952号118頁/タイムズ396号96頁/労働判例327号57頁/労経速報1033号3頁/訟務月報25巻12号3006頁
審級関係 上告審/01303/最高二小/昭60.11. 8/昭和57年(行ツ)77号
評釈論文 高須要子・昭和54年行政関係判例解説167頁/西谷敏・季刊労働法115号197頁
判決理由 〔労働時間-労働時間の概念-歩行時間〕
 しかして、出勤簿整理時間の設定は、職員の勤務時間を変更し、当該時間内の勤務を免除するとの効力を有するものでない(よって、原告ら主張の出勤猶予時間ではない。)から、職員は、出勤簿整理時間内に出勤した場合には、当然に当局の支配管理下にあり、労務供給義務を負うものというべきであり、右時間終了まで職員が他の目的のために自由に使用・行動し得る時間ではないのである。それ故、当局は、出勤簿整理時間内に出勤した職員に対し、職務命令を発することができるのは当然であり、まして、出勤簿整理時間内に開催された本件職場大会に参加している職員に対し「解散命令」或いは「職務命令」を発したことについては何ら瑕疵はなく、職員は右命令に拘束され、従うべき義務を負うものというべきである。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 (八) そして、本件職場大会が国公法九八条二項に違反する争議行為であること、同大会における原告らの行為の性質、態様、情状及び本件各処分が国公法八二条所定の懲戒処分のうち最も軽いものであること、又、原告Xについては国公法九八条二項後段の事実が認められないものの、本件職場大会に参加して主たる役割を果したことには変りがないことを考慮すると、本件各処分が社会観念上著しく妥当を欠くと認められるほどに裁量権を濫用したとは認め難いといわざるを得ず、原告らの懲戒権濫用の主張も採用し難い。
 七 よって、被告局長が原告らに対してなした本件各処分は適法というべきである。