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ID番号 03332
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 株式会社ダイエー・中島木工所事件
争点
事案概要  家具の製造販売を業とする甲社に入社後、同じく家具の製造を業とする乙社で勤務中に工場のムラ取機のかんな盤で手指切断した事故を起した従業員が、右の甲、乙両者を相手どって安全配慮義務違反の責任を問題とした事例。
参照法条 民法415条
労働安全衛生法59条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1978年1月27日
裁判所名 福岡地久留米支
裁判形式 判決
事件番号 昭和52年 (ワ) 39 
裁判結果 一部認容(控訴)
出典 時報919号90頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕
 被告Y2株式会社の建物(工場)と被告Y1株式会社の建物(工場)はそれぞれ別個独立のものであるけれども、両建物の敷地は隣接し、その間に明確な使用占有区分はなされていないこと、被告Y2株式会社は昭和四四年に設立され、応接セットの製造、販売を業とし、その従業員数は九〇名であり、被告Y1株式会社は昭和五〇年一一月に設立され、食器棚の製造を業とし、その従業員数は一七名であり、同会社の製品の販売は被告Y2株式会社において行なっていること、右被告ら両会社の各代表取締役はいずれも同一人であるAであること、被告Y2株式会社は通常の事務所を有しているけれども被告Y1株式会社の事務所は休憩所程度のものにすぎず、前者の製品が相当数梱包されて後者の工場内の入口付近に置かれていること、昭和五一年六月二六日頃原告を含む被告Y2株式会社の従業員六名が被告Y1株式会社で勤務するよう現場責任者から申し渡されたが、その際被告Y2株式会社を解雇するとか、退職させるという申入は何らなされず、原告らはその後も同会社の事務員から従来と同様の給料袋により給料の支給を受けていること、労働基準監督署長に対し提出した本件事故に関する労働者傷病報告書も現実には被告Y2株式会社において作成したことを認めることができる。
 右のように、被告ら両会社間には、業務内容、人的、物的構成の混同、経理上の区別の不明確が認められることを考え合わせると、被告ら両会社は実質的に同一の会社であることを認めることができ、右認定を覆すにたりる証拠はない。
 そうすると、被告ら両会社は二人格共同責任の法理により、各自両会社の事業に従事していた従業員である原告に対し雇用契約に基づく責任を負うものといわなければならない。