ID番号 | : | 03353 |
事件名 | : | 不当労働行為救済命令取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 西日本重機事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 無許可ビラの配布に対する警告書の交付、夏期一時金の支給の際にストライキによる不就労を一般の「欠勤」と同視して「出勤率」を計算したことが不当労働行為にあたるか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3章 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 賞与請求権 |
裁判年月日 | : | 1978年5月16日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和50年 (行ウ) 27 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 労働判例298号19頁 |
審級関係 | : | 上告審/最高二小/昭58. 2.24/昭和54年(行ツ)85号 |
評釈論文 | : | 香川孝三・ジュリスト696号160頁 |
判決理由 | : | 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-賞与請求権〕 (二) 原告における賞与配分の算定が、前記の如くまず当該労働者の基本給に出勤率を含む各要素の係数を乗ずる方式を採用していたことからみると、原告における賞与はまず各期の労働に対する対価、利益配分、功績ほう賞的性格のものとされ、いわゆる生活補給金的性格は全くないとはいえないにしても二次的なものであって、ストライキによる不就労を合理性の存する範囲内で考慮することが全く許されないとはいえないと解することはできる。しかし前記の如く、本件労使においてはA分会が結成されるまで労働組合はなかったもので、賞与からストライキ控除を行う問題に関して労使間の合意や慣行が成立していたことを認めるに足る証拠はない。従って、仮りにストライキ控除を行うにしても、争議権が法認されている趣旨にてらして、これを不当に制約しないよう十分に合理性を持った計算方法によらなければならない。 (三) 本件における「ストライキ控除」は、前記の如くストライキ日数を欠勤日数と同視して出勤率を決定し、基本給にその出勤率を乗じさらに在社率から考課率にいたる要素の係数を順次乗ずるものである。従って、その出勤率は全部の算定要素とすべて計算上関連し、本来就労義務を負いながらその履行をしない(場合によれば債務不履行の責を免れない)欠勤については、右の計算方式が合理性を持つとはいえても本来法によって認められた権利の行使であるストライキを右の欠勤と同様に扱うことは、合理性がないと判断するのが相当である。 |