ID番号 | : | 03408 |
事件名 | : | 退職金等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 敷島建設事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社が従業員の住宅等福利厚生のために給料の一部を出資していたことにして住宅組合を作っていた場合において退職した従業員が右仮装の上乗せ分を含めて退職金を請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法11条 労働基準法3章 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算 |
裁判年月日 | : | 1977年7月26日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和50年 (ワ) 9690 |
裁判結果 | : | 一部認容・棄却(確定) |
出典 | : | 時報868号96頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕 前記一で説示したところから明らかなように、被告会社の経理上の操作によって原告の基本給についても二本立となっており、《証拠略》によれば、原告が現実に受領していたのは金一一万九〇〇〇円であって、その三割にあたる金三万五七〇〇円は被告組合に出資する形をとって、帳簿上これを含む金一五万四七〇〇円が被告会社で処理されていることを認めることができる。 右の三割上乗せ分がもし賃金であるならば、被告会社は労働基準法第二四条の全額払に反するものと言わざるを得ないけれども、右に見たところから明らかなように、右上乗せ分はそもそも賃金にあたらないものというほかない。いわば被告会社と従業員との間の合意によって上乗せ分を含めた額を基本給額として仮装記帳しただけのことであるからである。被告会社のやり方がいかに違法であり、脱法的であるからといって、これによって賃金でないものが賃金に転化するものではないというべきである。 (3) 右認定の金一一万九〇〇〇円を原告の退職時の基本給としてその退職金を計算すると金一八万〇九九七円となることは明らかである。 |