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ID番号 03448
事件名 停職処分無効確認請求事件
いわゆる事件名 朝日新聞社事件
争点
事案概要  元請会社の社員が下請のスト支援活動において、元請の職制の業務をピケッテイングによって妨害した事件につき、右妨害行為は違法性が大きいとはいえず、停職および減給処分が無効とされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
労働組合法1条
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1976年6月23日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和47年 (ワ) 11100 
裁判結果 認容(控訴)
出典 時報829号94頁
審級関係 控訴審/01824/東京高/昭52. 6.30/昭和51年(ネ)1520号
評釈論文 加藤俊平・労働判例256号11頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 (五) 他方、前記認定のとおり、原告は、昭和四七年六月四日、被告会社での勤務の終了後、午後六時五〇分ごろからAステーションで開かれたA労組の組合員および支援の外部団体員らの集会に参加して、A労組のストライキを支持する挨拶をし、午後八時五分ごろから同四五分ごろまでの間外部団体員らとともにBカウンター八番積込口付近でスクラムを組み、ピケを張り、ミニコン上を流れてくる新聞の梱包のバンドの隙間にビラを挾むなどの行為をしたものであるが、その間、A労組の組合員および支援の外部団体員らの行動と別個の行動をとったことはなく、専ら、前日にA労組と支援の外部団体との合同執行委員会で決定された方針とスケジュールに従い、かつ、当日のA労組の指揮と統制のもとに行動したものにすぎない。しかも、原告がピケ等に参加したのは、朝刊第八版帯の約四〇分間にすぎない。したがって、昭和四七年六月四日A労組の組合員および支援の外部団体員らが実施したAカウンターおよびBカウンターにおけるピケその他の行動に多少の行きすぎがあり、それがいわゆる平和的説得の範囲を越えたものであったとしても、これに途中から支援者の一人として参加したにすぎない原告自身の行為の違法性と責任をそれほど大きく評価するのは相当でない。
 (六) 以上に認定、考察したところを総合して判断すると、原告の昭和四七年六月四日の行動をめぐる被告と原告との関係は、実質的には、就業規則の規定がそのまま適用されるべき使用者と従業員との関係であったというよりはむしろ、B会社とA労組との労働争議におけるB会社の支援者とA労組の支援者との関係であったというべきであるから、原告の右行動が外形上就業規則第七三条第一項第二号、第六号、第一三号および第一五号の規定するところに該当するとしても、これらの規定を安易に適用して原告を処罰することは相当でなく、その適用は行為の違法性の大きい場合などに限定するのが相当である。のみならず、仮に原告の右行動につき、就業規則の右各規定を適用することができるとしても、以上に認定したような事実関係のもとにおいて、被告が原告に対し一か月間の停職処分という非常に重い処分を行なうことは、衡平の観念に照らして、著しく失当であるといわざるをえない。したがって、被告が原告に対して行なった停職処分は、結局就業規則の右各規定の適用を誤ったものであって、その効力を生じないものというべきである。
 四 そうすると、被告が原告に対し、一か月間の停職処分を行なったのに伴ない、それが有効なものであることを前提としてなした減給処分も当然に無効であって、被告は、原告に対し、減額分の給与金二万五九二六円を支払う義務を負うものというべきである。