ID番号 | : | 03503 |
事件名 | : | 譴責処分無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 関西電力事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 勤務時間外に会社社宅において会社批判を行なったことを理由とする譴責処分につき、就業規則所定の「特に不都合な行為」に該当しないとして、右処分が無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 信義則上の義務・忠実義務 解雇(民事) / 解雇事由 / 会社批判 |
裁判年月日 | : | 1974年2月8日 |
裁判所名 | : | 神戸地尼崎支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和44年 (ワ) 372 |
裁判結果 | : | 一部認容・棄却(控訴) |
出典 | : | 時報739号125頁 |
審級関係 | : | 上告審/01901/最高一小/昭58. 9. 8/昭和53年(オ)1144号 |
評釈論文 | : | 石田省三郎・労働判例200号14頁 |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-信義則上の義務・忠実義務〕 (二) 勤務外の行為に対する懲戒の適否 原告は、本件ビラ配布は、勤務時間外に会社施設を離れて行なったものであるから、会社の労働指揮権、施設管理権と抵触する余地はなく、したがって懲戒規定を適要するに由ない旨主張している。なるほど、本件ビラ配布は、原告が勤務時間外に、職場以外の場所でなしたものであること前示認定のとおりである。しかしながら、たとえ企業外で就業時間外になされた行為であっても、その行為が使用者に及ぼす影響いかんによっては、それに対し、いわゆる懲戒規定が効力を及ぼすこともあると解される。けだし、労働者が使用者と労働契約を結んだ以上は、その附随義務として、企業の内外を問わず使用者の利益を不当に侵害してはならないのはもちろん、不当に侵害するおそれのある行為をも差し控えなければならない場合があると解されるからである。したがって、原告の右主張は採用できない。 〔解雇-解雇事由-会社批判〕 (五) 本件譴責処分の違法性 以上判示した諸般の事情特に前項1ないし4の事実を綜合勘案すれば、原告の本件ビラ配布行為はなるほど不都合ではあるけれども、その情状においてさほど悪質ないし重大なものと評することはできないから、いまだ「特に不都合な行為」には該当しないと解するのが正当である。したがって、本件譴責処分は、就業規則の適用を誤ったものとして不適法であり無効である。 |