全 情 報

ID番号 03515
事件名 地位保全等仮処分申請事件
いわゆる事件名 日本電信電話公社事件
争点
事案概要  「大阪中電マッセンスト」に参加し、火炎ビン投下等の行為が新聞に報道されたことを理由とする懲戒免職処分につき、就業規則所定の処分事由に該当し有効とされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 名誉・信用失墜
裁判年月日 1974年4月19日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和45年 (ヨ) 1284 
裁判結果 却下
出典 訟務月報20巻8号1頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-名誉・信用失墜〕
 3 このように考えてくると、申請人が前認定のとおり「Aマツセンスト」の一環としてAの施設を占拠し、火炎びんを投下したことは、「局所内においてみだりに火器その他の危険物を所持、使用」し、また「局所内において風紀秩序を乱すような言動をした」ことになるのは勿論、公社「職員としての品位を傷つけ、また信用を失わせる非行」であつたと認めないわけにはいかない。
 また、申請人が右行為によつて逮捕され、それが新聞等に報道されたことにより、その行為の暴力性が主義主張をこえて多数の国民のひんしゆくを買い、公社職員に対する一般の信用を損ねたであろうことも容易に推認できることである。さらに、申請人の右行為は、当時「Aマツセンスト」に対処して施設の防衛措置を講じてきた被申請人に対しその施設および通信業務に対する現実的な危険を意識せしめ、あるいはまた「Aマツセンスト」の思想、行動に同調しない公社職員との間にかなりの違和感を生じさせたであろうことも容易に推察できる。そうだとすれば、申請人はAの通信業務の運営に直接の支障を与えたものでないけれども、管理職員を含む多数の職員の可能なかぎりの有機的な結合関係の上に成立すべき公社の作業体制の円滑な運営に少なからず悪影響を与え、その結果、公社の職場秩序を乱したものと評価されてもやむを得ないところであろう。
 4 以上検討してきたところによれば、申請人の行為は明らかに就業規則五九条七号、同条一八号(五条四項、八項)所定の懲戒事由に該当し、その情状極めて重いと認むべきものであるから、被申請人が申請人を懲戒免職処分に付したことはけだしやむを得ないところであり、本件懲戒免職処分をもつて裁量権を濫用したものとはいえない。