ID番号 | : | 03548 |
事件名 | : | 従業員地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 瑞穂タクシー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合大会において会社と上部団体との間に不正な金銭の授受がある旨の発言をしたことが会社の名誉、信用を毀損することになるとして懲戒解雇された組合役員が右解雇の効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 会社中傷・名誉毀損 |
裁判年月日 | : | 1974年12月11日 |
裁判所名 | : | 名古屋地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和48年 (ワ) 290 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 時報773号134頁/タイムズ328号327頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-会社中傷・名誉毀損〕 以上認定の事実からすれば、原告両名がA発言の内容を真実であると信じていたかは疑わしく、たとえ信じていたとしてもそれは重大なる過失に基づくもので、到底真実であると信ずべき相当な理由があったとはいえない。 (三) してみると原告両名は、B発言により被告会社の名誉・信用が毀損されたことについて不法行為責任を免れないから原告らの言動は被告会社の懲戒解雇を含む懲戒事由である就業規則一二条一項(会社の名誉を傷つける言動)、一三項(会社の不利益となるような言動)に該当することは明らかであり、被告会社が原告両名を懲戒解雇したことは後述のように相当であったというべきである。 (中略) B発言の動機目的については、原告XがC委員長を中心とする組合執行部主流派及びその支持団体である交通労連に対しかねてから批判的であり交通労連脱退を望んでいたと推認されること、B発言が組合員間に同盟脱退の気運が生じた段階においてなされ、現に右発言の結果同盟脱退可否の採決を余儀なくする程の緊迫した情勢をつくり出したこと、その発言の態様が、疑惑の存在を指摘して真相の糾明を求めるものとしてではなく、明らかに虚偽の内容をも混えて不正事実の存在を動かぬ前提として専ら被告会社及び交通労連に対する非難攻撃の手段としてなされたこと等を併せ考えると、原告らの意図はA発言の内容の真否それ自体を問題にするというよりは、右A発言の内容たる事実の存在を大会出席者に印象づけ、これにより同盟脱退を一挙に達成しようとするところにあったものと推認されるのであって、B発言がその動機・目的において正当性を逸脱しているとまで断定できないにしても、真否不確実な伊藤発言に虚偽の内容をも混えて自己らの政治的意図を強引に実現しようとしたもので、この点においてB発言は正当な組合活動から著しく逸脱しているものというべきである。 |