ID番号 | : | 03560 |
事件名 | : | 行政処分取消請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 津山市職員事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 休日振替命令に抗議してなされた職場大会等が地公法三七条、地公労法一一条違反にあたるとして執行委員長が懲戒免職された場合につき、労基法三三条、八条一六号にいう公務とは非現業を意味し、単純労務職員(自動車運転手)を含まないから、休日振替命令は違法であり、懲戒免職は許されないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法8条16号 労働基準法33条3項 労働基準法89条1項9号 地方公務員法37条 地方公営企業労働関係法11条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 適用事業 / 適用事業の範囲 労働時間(民事) / 時間外・休日労働 / 公務 休日(民事) / 休日の振替え 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1973年3月12日 |
裁判所名 | : | 広島高岡山支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和44年 (行コ) 2 |
裁判結果 | : | 原判決取消 |
出典 | : | タイムズ295号270頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-適用事業-適用事業の範囲〕 〔労働時間-時間外・休日労働-公務〕 〔休日-休日の振替え〕 (2) そこで、すすんで二、に認定の事実における控訴人の行為が地方公務員法等の禁止する争議行為に該当するか、同法三二条等を適用すべきかについて考察する。 本件休日振替命令発令の経緯、控訴人らの行為による事務の停滞等については、当裁判所の認定も、次のとおり付加する外、原審の認定と同一であるので、原判決の該当部分〈編注、別紙三に付加部分を加えて掲載、証拠判断省略〉を引用する。 右休日振替命令の適否につき当事者間に争いがあり、その対立点の一はAら自動車運転手につき労働基準法三三条三項の適用があるかということにある。同法条は公務のために臨時に必要がある場合には、同法八条一六号の事業に従事する公務員には休日労働をさせることができるというものであり、右規定はいわゆる非現業公務員について公務の特殊性から、一般労働者と区別して、設けられたものであり、右に公務員とは右趣旨からして単純な労務に従事する公務員は含まれないものと解するのが相当である。そしてAら自動車運転手は単純な労務に従事する公務員に当ると認められる(被控訴人もこれを前提として控訴人の一二月一〇日の行為につき地方公営企業労働関係法附則四項等を適用している。なお、同法適用により廃止となつた昭和二六年政令第二五号「単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員の範囲を定める政令」八号参照)ので、「津山市職員の勤務時間及び休日、休暇等に関する条例」の定めにかかわらず、労働基準法三六条の協定が結ばれていないことにつき争いのない本件では、本件休日振替命令は違法なものと認定する。 しかし、右振替命令が違法であることから、ただちに控訴人のこれに関する抗議行動等がすべて適法となるものとはいえず、この点はなお全体的評価を要するものといわねばならないので、結局前記禁止の対象となる争議行為に含まれるか否かとの評価と一括して検討することとする。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 四、以上の次第で、被控訴人の本件懲戒処分については一部根拠のあるものであるが、懲戒の種類については軽い戒告から免職まで四段階あるところ(地方公務員法二九条一項)、前認定の経過および〈証拠〉により認められるところの、津山市の本庁舎、新庁舎と建設課庁舎の状態およびその位置関係を綜合するとき、被控訴人が控訴人を最も重い懲戒免職処分に付したことは、裁量の範囲を逸脱し、酷にすぎるものとして、取消を免れないと判断する。 |