ID番号 | : | 03561 |
事件名 | : | 従業員たる地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 豊橋木工事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 始末書提出命令は懲戒処分を実施するために発せられる命令であり、指揮監督に従い労務を提供する場において発せられる命令ではないから、始末書提出命令拒否を業務命令違反として新たに懲戒処分の対象とすることは許されないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 始末書不提出 |
裁判年月日 | : | 1973年3月14日 |
裁判所名 | : | 名古屋地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和41年 (ワ) 708 |
裁判結果 | : | 一部認容・棄却(控訴) |
出典 | : | 時報722号98頁/タイムズ297号321頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 手塚和彰・ジュリスト596号168頁 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-始末書不提出〕 このように本来譴責処分相当と考えた従業員に対し、始末書不提出を理由に更に重い懲戒処分をなすことは許されるであろうか。 元来使用者のなす始末書提出命令は懲戒処分を実施するために発せられる命令であって、労働者が雇用契約にもとづき使用者の指揮監督に従い労務を提供する場において発せられる命令ではない。 これに加えて近代的雇用契約のもとでは労働者の義務は労務提供義務に尽き、労働者は何ら使用者から身分的人格的支配を受けるものではなく、個人の意思の自由は最大限に尊重されるべきであることを勘案すると、始末書の提出命令を拒否したことを理由に、これを業務上の指示命令違反として更に新たな懲戒処分をなすことは許されないと解するのが相当である。 |