ID番号 | : | 03564 |
事件名 | : | 戒告処分無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 国鉄浜田駅事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 国鉄所有の職員用ロッカーに組合ビラを貼付したことを理由とする戒告処分につき、右処分が無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 日本国有鉄道法31条 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1973年3月30日 |
裁判所名 | : | 松江地浜田支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和46年 (ワ) 850 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | タイムズ295号351頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 〈証拠〉によれば、原告らがビラを貼付したロッカーは備品として国鉄の物的施設の一部を構成し、国鉄が各個の職員に対し出勤時には私服類を、退勤時には作業服類を存置するという利用目的の範囲内で、その利用に供しているものであり、〈証拠〉によれば被告はその管理する施設に許可なく文字等を掲示することを禁じ(国鉄文一七八号通達)、組合に対しては掲示板の設置は認めるが、それ以外の場所に組合の文書を掲示することを禁じていることが認められる。従つて所定の組合掲示板以外の場所であるロッカーにビラを貼付することは右通達に違反し、被告の有するロッカーに対する施設管理権を侵害するものであり、かつ職場内の許されていない場所にビラを貼ることが職場規律を乱すものであることは否定しえない。 しかしながら、ビラ貼りは組合活動の最も通常かつ重要な手段方法であるのみならず企業内組合においては、組合活動の場は企業施設を中心として行わざるを得ず、使用者においてある程度の施設の利用は受忍すべき場合もあるといわざるを得ないので、ビラ貼りが正当性を主張しえないかどうか、更にこれが職場規律違反になるかどうかは、組合活動としての必要度、貼付された施設の性質、その存在する場所、ビラ貼りの枚数、その接着の方法、ビラの内容、その職場における慣行その他諸般の事情を勘案して決すべきである。 (中略) 結局、原告らの本件ロッカーへのビラ貼りは正当な組合活動と認められるから、ビラ貼り行為自体が国鉄就業規則六六条一七号に該当しないこと言をまたず、又ビラ貼りに対する上司或は管理者の制止に対し前記認定のとおりこれを無視してビラ貼りを続行したり或は又前記認定程度の反論をなすことは当然であつてこれをもつて右規則六六条三号、一七号に該当するものとは到底解し難く、ひいては国鉄法三一条一号所定の事由に該当しないといわねばならない。 |