ID番号 | : | 03567 |
事件名 | : | 債権仮処分異議事件 |
いわゆる事件名 | : | 東京都職員事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 都条例に基づく死亡退職手当請求権につき、同人の遺族に直接発生する固有の権利とされた事例。 |
参照法条 | : | |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 死亡退職金 |
裁判年月日 | : | 1973年4月10日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和47年 (モ) 16715 |
裁判結果 | : | 取消 |
出典 | : | 時報717号67頁 |
審級関係 | : | 一審/東京地/昭47. 9. 1/昭和47年(ヨ)5490号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-退職金-死亡退職金〕 民法九六四条および九九六条によれば、遺言者は、原則として、その死亡時においてその相続財産に含まれる権利にかぎり、これを有効に遺贈しうるものにすぎないところ、職員の退職手当に関する東京都条例三条および四条の規定によれば、東京都職員が死亡して退職した場合における東京都に対する退職手当金支払請求権は、死亡退職者の遺族につき直接に発生するその固有の権利であって、死亡退職者の相続財産には含まれないものと解するのが相当である。そして、東京都職員がその遺言により民法および東京都条例の右各規定の適用を排除しうるという理由は全く考えられないし、また、遺言者がなしたその全財産を特定人に遺贈するという意思表示はその遺言者の相続財産に含まれる財産にかぎりこれを全部特定人に遺贈するという趣旨にすぎないと解するのが相当である。したがって、申請外Aがその生前に債権者の主張するような内容の遺贈をしていたとしても、右Aが死亡して退職したことによる東京都に対する退職手当金支払請求権は、その遺贈の目的たる財産には含まれないものと解すべきである。 |