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ID番号 03613
事件名 時間外勤務手当金等請求事件
いわゆる事件名 紋別市立小中学校事件
争点
事案概要  公立小中学校の教職員が、中学校体育連盟主催の各種大会の運営にあたること、職員会議に出席することを時間外勤務にあたるとして割増賃金を請求した事例。
参照法条 労働基準法37条
体系項目 賃金(民事) / 割増賃金 / 支払い義務
労働時間(民事) / 労働時間の概念 / 教職員の勤務時間
裁判年月日 1972年3月23日
裁判所名 旭川地
裁判形式 判決
事件番号 昭和43年 (行ウ) 18 
昭和43年 (行ウ) 24 
裁判結果 一部認容・棄却
出典 行裁例集23巻3号148頁
審級関係
評釈論文 高原賢治・自治研究49巻8号174頁
判決理由 〔労働時間-労働時間の概念-教職員の勤務時間〕
 以上の認定事実と道内の各市町村教育委員会が制定した各市町村立学校管理規則六条の「校長は、校務の運営上必要があるときは職員の会議を開き、所属職員の意見を求めて適正な学校運営に努めなければならない。」との規定とをあわせて考えると、学校における職員会議は、形式的には学校の校務を掌理する学校長の諮問機関たる性格を付与されているが、実際上は学校運営のための議決機関として重要な役割を果しているものと考えられ、それ故学校長も職員会議の有するこのような役割を重視して教職員に出席を促し、各教職員の意見を聞き、会議の結果を尊重して学校の運営にあたつているものと認められる。そうすると、教職員が職員会議に出席することは、自己の職務の遂行上必要不可欠のものであり、教職員にとつてその職務行為の一部に属するものというべく、しかも会議への出席は学校長の明示ないし黙示の命令にもとづくものとみるのが相当である。
〔賃金-割増賃金-支払い義務〕
〔労働時間-労働時間の概念-教職員の勤務時間〕
 右認定事実によると、教職員が中体連大会の運営に当ることは、生徒の大会参加が中学校学習指導要領(昭和三三年一〇月一日文部省告示)に定められている特別教育活動としてのクラブ活動(生徒会活動としてのそれを含む。)と密接不可分の関係にあり、教育的価値も大であるから、教職員の本来の職務の一部に属するものというべきであり、運営に当る教職員が学校長の諮問機関たる職員会議によつて決定されているものである以上、学校長の指示に基づくものといわなければならない。従つて、大会の開催日の関係等のため勤務時間外に大会の運営に当ることがあつても、これを教職員の自発的奉仕行為ということはできない。
〔賃金-割増賃金-支払い義務〕
 労働基準法三七条の割増賃金支給の対象となる時間外勤務とは、同法三二条または四〇条所定の労働時間をこえたものをいうから、法定時間より短い勤務時間の定めがされている場合には、これをこえて勤務をしたとしても、法定時間の範囲内においては、割増賃金支給の対象とはならず、右勤務に対して通常の賃金による時間外勤務手当を請求できることは格別として、割増賃金の請求権はないものというべきである。そして、原告Xの昭和四一年一一月九日の勤務は、法定時間内の勤務であることが明らかであるから、右勤務にかかる同原告の本訴請求は、割増賃金の請求としては失当であるが、割増賃金の範囲内で通常の賃金を請求する意思があるものと解されるので、通常の賃金による時間外勤務手当請求として取り扱うこととする。