ID番号 | : | 03617 |
事件名 | : | 身分確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 財団法人花園病院事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 精神病院において配転拒否問題に関連してなされた争議行為が違法であるとしてなされた懲戒解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 労働組合法7条 労働組合法8条 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1972年3月31日 |
裁判所名 | : | 甲府地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (ワ) 100 |
裁判結果 | : | 一部認容・棄却 |
出典 | : | 労働民例集23巻2号206頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 浜田冨士郎・ジュリスト546号125頁 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 原告が本件斗争を組合執行委員長として指導したことは、就業規則の「職場の秩序を乱し、正当な理由なく上司に反抗し、または命令を守らず、その情状が特に重いとき」には到底あたらないというべきである(また仮に組合の本件拒否行動に多少責めるべき点があつたとしても、そのことをもつて直ちに組合委員長である原告個人の全責任であるとして追及する根拠とすることは、許されないといわなければならない。けだし解雇の当否は専ら「従業員としての適格性の有無」に係つているのであるが、幹部責任の有無は直ちにこれとは結び付かないというべきであるし、幹部といえども団体としての組合の意思に規律されざるをえないからである。)従つて本件懲戒解雇は被告主張の就業規則にその根拠を求めることはできず、他にこれを首肯すべき事由につき主張立証のない本件では、何らの理由なくしてなされた無効のものと断ずる外はない(なお付言するに、証人Aの証言により真正に成立したと認められる甲第一三号証によれば本件紛争当時山梨県内の精神科医師の間には「前の雇用者の承諾がない限り看護婦や看護人を採用しない」旨の不当な申合わせが存したことが認められるのであるから、本件懲戒解雇は、被告病院に七年以上も勤続しその間に漸く准看護人の資格を得た原告に再就職の機会を殆ど失なわせるという過酷な結果を強いることに帰し、企業秩序維持の観点から使用者に許容されている正当な懲戒権の範囲をはるかに逸脱しているものというべきである)。 |