ID番号 | : | 03655 |
事件名 | : | 雇傭関係存在確認請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 電々公社事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | レッドパージにより免職処分とされた旧電気通信省のもと職員が右処分を無効として雇用関係存続の確認を請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) |
裁判年月日 | : | 1972年11月28日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和44年 (行コ) 26 昭和44年 (行コ) 28 |
裁判結果 | : | 一部原判決取消・請求棄却・一部控訴棄却(上告) |
出典 | : | 時報691号82頁 |
審級関係 | : | 一審/東京地/昭44. 8.12/昭和35年(行)13号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-均等待遇-信条と均等待遇(レッドパージなど)〕 連合国の管理下にあっては、日本国の統治の権限は、一般には憲法によって行われているが、連合国最高司令官が降伏条項を実施するため適当と認める措置をとる関係においては、その権力によって制限を受ける法律状態におかれているものといわねばならぬ。すなわち、連合国最高司令官は、降伏条項を実施するためには、日本国憲法にかかわりなく法律上全く自由に自ら適当と認める措置をとり、日本官庁の職員に対する指令を発してこれを遵守実施せしめることを得るのである(前顕昭和二八年四月八日最高裁判所大法廷判決参照)。 そして、本件各免職処分が、昭和二五年五月三日付連合国最高司令官の声明、同年六月六日付、同月七日付、同月二六日付、同年七月一八日付連合国最高司令官の内閣総理大臣宛各書簡等(その内容は最高裁判所民事判例集一六巻二号三一一頁ないし三一九頁、および二九五頁参照)による連合国最高司令官の指示を実施するために行なわれたものである (中略) 連合国最高司令官の前記声明および内閣総理大臣あての各書簡の趣旨は、当時の連合国最高司令官において、国際的および国内的情勢の下における占領政策を示し、この占領政策を達成するために必要な措置として、公共的報道機関その他の重要産業から共産主義者またはその支持者を排除すべきことを要請した指示であり、しかも、その指示は共産主義者またはその支持者と認められる限り、そのすべてを排除すべく要請したものと解するを相当とし(最高裁判所昭和二七年四月二日大法廷決定、最高裁判所民事判例集六巻四号三八七頁以下参照)、官庁、公団、公共企業体等については、共産主義者またはその支持者のうち、その機密を漏洩し業務の正常な運営を阻害するなどその秩序をみだし、またはみだす虞があると認められる者であるかどうかを判断させ、これに該当する者のみを排除すべく裁量の余地を与えたものと解することはできない。右指示(前記七月一八日付書)は「今日までの諸事件は共産主義が公共の報道機関を利用して、破壊的暴力的綱領を宣伝し、無責任不法の小数分子を煽動して法に背き、秩序を乱し、公共の福祉を損わしめる危険が明白」であると判断し、この判断を前提として、共産主義者またはその支持者の排除を指令しているのである。したがって、原判決添付の別紙(二)(三)の閣議決定、同了解も、「共産主義者またはその支持者」であるかどうかの判定に慎重を期し、且つ右指令の実施を円滑に行なう目的で、そのような表現をとったものと解すべく、共産主義者またはその支持者であることが明らかな者についても、さらに機密を漏洩し、業務の正常な運営を阻害する等その秩序をみだし、またはみだす虞があるかどうかを判断し、その虞がないと認められる者はこれを排除の対象から除外すべきものとした趣旨とは解し難い。 3、原告ら二名がいずれも本件処分当時日本共産党員であり、共産主義者であったことは《証拠略》によって明らかであるから、これを理由としてなされた本件各免職処分は、右指示に適合するものとして有効といわざるをえない。 (中略) 本件各免職処分は、連合国最高司令官の指示に基づくものであり、しかも、平和条約発効以前においては、同司令官の発する一切の命令、指示は、日本国憲法をはじめ労働基準法労働組合法等の国内法規にかかわりなく法律上効力を有するものであることは前記のとおりである |