ID番号 | : | 03667 |
事件名 | : | 配転効力停止仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 津郵便局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 津郵便局保険課勤務の外務員等に対してなされた集配課勤務等への配置換の発令に対してその効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 国家公務員法35条 労働組合法7条 民法1条3項 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の限界 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用 配転・出向・転籍・派遣 / 配転・出向・転籍・派遣と争訟 |
裁判年月日 | : | 1971年2月27日 |
裁判所名 | : | 津地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和45年 (ヨ) 54 |
裁判結果 | : | 一部認容・却下(異議申立) |
出典 | : | タイムズ267号295頁/訟務月報17巻5号806頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令の根拠〕 配置換の性質は、明示または黙示にされた労働契約において使用者が労働者から委ねられた範囲内において労働の給付を具体的・個別的に決定する一方的意思表示として形成権の行使であると解しうるところ、本件においては申請人らが被申請人に対し委ねた範囲内における形成権の行使であるか否かを問題とし、さらには範囲内であるとしても、その不当労働行為性や権利乱用を理由として本件配置換の効力を争うものであるから、それは民事訴訟法上の手続で審理されるべきものと考える。 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の限界〕 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕 申請人らは、職員として採用されて以来一貫して同一職場に勤務しているのであるから、申請人らの本件配置換前の職種は労働契約の内容として固定化しているものであると主張するが、一般的に、同一職場に一貫してまたは長年勤務しているからといつて、そのことの一事をもつて、その職場(職種)が労働契約の内容として固定化するとは考えられず、本件全疎明に照らしても、他に申請人らの本件配置換前の職種が労働契約の内容として固定化した(申請人らと当局との間に申請人らが提供する労働はその職種に限定するとの契約が成立した)とみうるような事情は窺えない。 〔配転・出向・転籍・派遣-配転・出向・転籍・派遣と争訟〕 申請人山添に対する本件配置換は無効であり、同申請人は今なお、津郵便局保険課に外務員として勤務する地位を有するものであると一応認められるところ、もし本案判決が確定するまで本件配置換の効力が持続するものとすると、同申請人はその間、前記の如き経済的、精神的、肉体的な不利益を受けるうえ、同申請人の従来の職務の性質(保険外務では顧客《保険加入者》との対人関係を持続しておくことが重要であり、一旦その職務を離れると容易に従来の如き関係を回復するのが困難であることは容易に窺われる。)を考え合わせると、同申請人は回復しがたい損害を受けることになり、一方、津郵便局においては、同申請人に対する本件配置換の効力が仮に停止されることによつて、集配課、保険課の業務にある程度の混乱が生じることは想像しうるが、これによつて被申請人の蒙る損害が右業務内容が公共性の強いものであり決して軽視できないものであることを考えても、なお、同申請人の右のような回復しがたい損害に比べれば軽微なものといわなければならない。このような双方の事情を衡量して同申請人に対する本件配置換の効力を仮に停止する保全の必要性はあると認定する。 |