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ID番号 03676
事件名 地位保全等仮処分命令申請事件
いわゆる事件名 電々公社徳島局事件
争点
事案概要  飲酒運転により追突事故を起こし、禁錮六月、執行猶予二年の判決を受けた電々公社職員に対する免職処分の効力が争われた事例。
参照法条 日本電信電話公社法31条
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 企業外非行
裁判年月日 1971年3月30日
裁判所名 徳島地
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (ヨ) 65 
裁判結果 一部認容・却下(控訴)
出典 時報634号87頁/タイムズ265号198頁/訟務月報17巻7号1102頁
審級関係 控訴審/03577/高松高/昭48. 6.22/昭和46年(ネ)102号
評釈論文 松本健男・別冊労働法律旬報780号23頁
判決理由 〔解雇-解雇事由-企業外非行〕
 およそ職員の身分関係を一方的に排除する免職処分は、当該特別権力関係(公社職員の身分関係もこの範疇に属する)内にあつてはそれが分限、懲戒のいずれによるものであつてもいわば極刑に等しい結果を生ずるものであり、公社の終身を原則とする雇傭の実情(公知の事実)、並びに身分上の処分は一般に謙抑主義の妥当する場合が多い点等に照らすと、例えそれが形式上何らの違法がなくとも、実質的にその適用または運用が著しく相当性を欠き公正を失する場合はこれを権限逸脱の違法ありといわねばならない。
 (中略)
 免職処分が当該特別権力関係から排除する決定的な効果を伴うものである点に思いを至すと、もはや当、不当の域を越えて、人事に関する処分またはその運用上著しく相当性を欠くもので、結局本件処分には、その合理的な裁量の範囲を逸脱した違法が存するといわざるをえない。被申請人が従来から職員に交通安全を指導していたことはその提出した疎明資料によつて認められるし、本件や他の二件等を契機として爾後一層の監督指導の強化を図つたこと自体も、その企業の性質や立場上十分理解できるところではある。また、一般に近時交通事犯が自然犯、道徳犯化し、事件に対する社会的評価も厳しくなつている折から、これに対する社内の処分もこれを反映して厳格になつていくことも一般論としては当然で、この限りにおいては古い前例を漫然探し出してこれと比較し、当該処分の相当性を云々することは当を得ないことであることも多言を要しない。しかし、以上の諸点を考慮しても、本件の場合はその比較例の内容、日時の接近等に照らし、また、その他一般的な従来からの公社の人事管理の運用情況等にも照らし、なお、これを違法といわねばならない。