全 情 報

ID番号 03679
事件名 課税処分取消請求事件
いわゆる事件名 盛岡税務署長事件
争点
事案概要  労音が、その事務局員らに対して活動保障費の名目で支払った金員が所得税法にいう「給与」にあたるか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法3章
(旧)所得税法9条1項5号
体系項目 賃金(民事) / 賃金の範囲
裁判年月日 1971年4月8日
裁判所名 盛岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和41年 (行ウ) 6 
裁判結果 棄却
出典 行裁例集22巻4号465頁/税務訴訟資料62号522頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金の範囲〕
 右事実を総合勘案すれば、原告と事務局員らとの間には、明白に雇傭契約とはいえないまでも、これに準ずる関係が存在し、事務局員らは右関係に基づき、原告に従属して一定の労務を提供し、その対価として原告から一定の「給料」および「賞与」の支払を受けているものと認めるのが相当である。原告は右の点に関し、原告と事務局員らとの間には雇傭契約ないしこれに準ずる契約が締結されていないから、原告から事務局員らに支払われている金員は雇傭関係から発生するものではない(したがつて労務の対価として支払われているものではない)旨主張する。しかしながら、雇傭契約という明白な形式がとられていなくとも当事者間に雇傭契約に準ずる関係が存在し、これに基づいて当事者の一方が他方に対し従属して労務を提供し、その対価として他方が金員を支払つている関係が認められれば、右金員は旧所得税法九条一項五号に規定される給与と解すべきことは前示のとおりであり、雇傭契約等契約の存否は右給与支払関係の存在を認定するにあたつての一資料にすぎないものと解すべく本件において原告と事務局員らとの間には前記認定のような関係があるから、原告の右主張はとうてい採用することができない。
 してみると原告が事務局員らに対し活動保障費の名目で支払つた金員は所得税法上「雑所得」とみるべきでなく、旧所得税法九条一項五号に規定する「給与」に該当するものと解すべきである。