全 情 報

ID番号 03700
事件名 退職金請求事件
いわゆる事件名 大阪府立小学校教員事件
争点
事案概要  大阪府立小学校の教員の内縁の妻であった者が、夫の死後二年以上経過したのち退職手当を請求した事例。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法115条
国家公務員退職手当暫定措置法11条1項
体系項目 雑則(民事) / 時効
裁判年月日 1971年9月22日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和40年 (ワ) 1242 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 時報668号94頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔雑則-時効〕
 元来、労働関係が存在するかぎり、その最低基準を定めた労働基準法はいわば一般法、基本法として、その対象が公務員であると否とを問わず、適用あるものとするのが原則であり(同法一一二条)、前記国家公務員法附則一六条は右原則に対する特殊、例外的措置として限定的に解するのが、相当である。この原則、例外の関係を前提として右暫定措置法準拠の趣旨をみると、この点については、退職手当の種類、基準、受給権者の範囲などについて条例による具体的規定を設けない間は暫定措置法の定めているところに従うというにとどまるものと解するのが相当であり、これを超えて、地方公務員について国家公務員法を全面的に適用し、その意味で労働基準法の適用をも排除する趣旨であると考える根拠に乏しい。これに反する原告の主張は、その理由がなく、とうてい採用できない。
 また、退職手当は、通常の場合、労働の対償の一部後払いとしての性質を有しており、労働基準法一一条の賃金ないしはこれと同視すべきものと解され、本件にあっても、このように解することを妨げるべき事情は見当らない。
 かつ、労働基準法のうち賃金の消滅時効を規定した一一五条についてのみ、特殊の適用がなされるべきであるとする理由はない。
 だとすれば、右Aの死亡による退職手当請求権は、地方公務員法五八条二項により労働基準法一一五条の適用をうける結果、同人死亡日時より二年後の昭和三九年三月八日の経過とともに、被告において何らの援用をするまでもなく、時効により消滅に帰したものといわなければならない。