ID番号 | : | 03709 |
事件名 | : | 雇傭関係存在確認請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本電信電話公社事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | いわゆるマッカーサー書簡にもとづく旧電気通信省職員に対する免職処分が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 日本国憲法14条 民法90条 労働基準法3条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) |
裁判年月日 | : | 1971年12月14日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和44年 (ネ) 1441 |
裁判結果 | : | (上告) |
出典 | : | 時報657号89頁/タイムズ274号174頁/訟務月報18巻4号492頁 |
審級関係 | : | 一審/04250/東京地/昭44. 6. 5/昭和34年(ワ)5975号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-均等待遇-信条と均等待遇(レッドパージなど)〕 1 連合国最高司令官の右指示が、単に「公共的報道機関」についてのみなされたものでなく「その他の重要産業」をも含めてなされたものであることは、その趣旨に徴し明らかであるから、国家機関で電気通信事業を営む公共企業体の性格をもつ旧電気通信省がこれに該当することはいうまでもない。 2 連合国最高司令官の右指示は「共産主義者又はその支持者」を排除すべく要請したものである。そして右指示の文言の全趣旨によると、右の指示は共産主義者又はその支持者と認められる限り、そのすべてを排除すべく要請したものと解すべきであり、官庁、公団、公共企業体等については、共産主義者又はその支持者のうち、その機密を漏洩し業務の正常な運営を阻害するなどその秩序をみだり、又はみだる虞があると認められる者であるかどうかを判断させ、これに該当する者のみを排除すべく裁量の余地を与えたもの(原判決理由第三項参照)とは到底解することができない。右の指示は「共産主義が………破壊的暴力的綱領を宣伝し………法に背き秩序を乱し公共の福祉を損わしめる危険が明白」(昭和二五年七月一八乱日付書簡)であると判断し、この判断を前提として、その信奉者又は支持者の排除を指令しているのである。したがって、原判決添付の別紙(一)(二)の閣議決定、同了解も、「共産主義又はその支持者」であるかどうかの判定に慎重を期し、かつ右指令の実施を円滑に行う目的で、そのような表現をとつたものと解すべく、共産主義者又はその支持者であることが明らかな者についても、業務の秩序をみだり、又はみだる虞があるかどうかを判断し、その虞がないと認められる者は、これを排除の対象から除外すべきものとした趣旨とは解しえない。 被控訴人らがいずれも当時共産主義者であつたことは、前記のとおり被控訴人らの自認するところである。そうすると、これを理由として行われた本件各免職処分は、右の指示に適合するものとして、有効といわざるをえない。 |