ID番号 | : | 03723 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 袋中園事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 精薄児施設指導員に対する、児童への体罰行為を理由とする懲戒解雇(予備的に通常解雇)の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 信用失墜 |
裁判年月日 | : | 1986年2月26日 |
裁判所名 | : | 那覇地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和58年 (ワ) 366 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例476号65頁/労経速報1266号21頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-信用失墜〕 原告の本件殴打行為は、その態様、結果に加え、原告が精神薄弱児に対する指導員の立場にあったことをも考慮すると、決っして軽視されるべきものではない。 しかしながら、原告は、持前の徘徊癖から度重ねて規律に違反するAに対して、口頭による説諭をしながら、本件殴打行為に及んでおり、その心中には憤慨の情があったにしても、Aに対する規律指導の目的もあったことが明らかである。Aの母は、原告の真意を知り、これを宥恕しているうえ、原告は、本件殴打行為をその直後に福祉部長であるBに対し明らかにし、Aの母に対して謝罪しているなど、その反省の態度を窺うこともでき、本件殴打行為後、原告は、A及びその保護者との信頼関係も損なうことがなかった。 確かに本件殴打行為により顔面挫傷の結果は生じているが、Aは、特別の治療を受けることなく、通常の生活を続けており、これまで体罰事案に対して、懲戒処分がなされていないことに照らすと、原告に対する懲戒解雇は著しく均衡を失するということができる。 |