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ID番号 03731
事件名 仮処分異議事件
いわゆる事件名 鹿島精機工業事件
争点
事案概要  常務取締役が社長の指示命令を無視したり、従業員に対して暴力をふるったとして懲戒解雇され、その効力を争った事例(仮処分決定認可)。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 1986年3月20日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和60年 (モ) 559 
昭和60年 (モ) 2170 
昭和61年 (モ) 50292 
昭和61年 (モ) 50293 
裁判結果 認可
出典 労経速報1257号7頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕
 被申請人は、本件解雇が就業規則三〇条二号、一二号、四六条七号に基づく懲戒解雇であり、そうでないとしても通常解雇であるとして、解雇事由を縷々主張しているが、被申請人の主張する右事由の存否及びその程度についての判断は前示のとおりである。以上によれば、申請人はいささか協調性に欠け、その言動について反省すべき点が多々みうけられ、今後十分留意しなければならないと考えられる。しかしながら、以上認定にかかるいずれの事実も、社会通念に照らし、懲戒解雇であれ、通常解雇であれ、解雇を已むなしと首肯しうるものとはいい難く、また、申請人がA社長の強力な勧誘により、上場優良企業であるB株式会社の課長職を投げうって、被申請人に入社した前記経緯等を考えあわせると、申請人に対し本件解雇をもって臨むのは酷であるといわざるをえない。
 よって、本件解雇は解雇権の濫用にあたり、効力を生じないというべきである。