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ID番号 03732
事件名 労働契約上の地位確認請求事件
いわゆる事件名 日産自動車村山工場事件
争点
事案概要  自動車製造会社で二〇年余にわたって機械工として就労してきた従業員を単純な流れ作業職場に配転したことにつきその効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠
配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の限界
裁判年月日 1986年3月20日
裁判所名 横浜地
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (ワ) 2130 
昭和56年 (ワ) 2423 
昭和57年 (ワ) 509 
昭和57年 (ワ) 942 
裁判結果 一部認容(控訴)
出典 時報1207号122頁/タイムズ606号67頁/労働判例473号42頁/労経速報1260号5頁
審級関係 控訴審/03112/東京高/昭62.12.24/昭和61年(ネ)965号
評釈論文 藤原稔弘・季刊労働法140号124~135頁1986年7月
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令の根拠〕
〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の限界〕
 (九) 以上説示のとおり原告らと被告との間の雇用契約においては機械工をその職種に特定されているものであるから、被告が原告らを他の職種に就労せしめることは雇用契約内容の変更にあたり原告らの同意を得る必要があるところ、被告の就業規則四八条二項に、「会社は業務上の必要があるときは従業員に対し職種変更又は勤務地変更を命じることができる」、同三項に、「従業員は正当な事由がなければ右命令を拒むことはできない」趣旨の規定の存することは当事者間に争いがないから、原告らは職種変更につき事前に包括的同意を与えているものと解せざるを得ない。
 (中略)
 而して一般的には、労働者にとっては就労すべき業務すなわち職種は就労の場所とともに重要な労働条件であり、これを変更するときは労働者の生活上の権利に重大な影響を与えることになるから、配転命令の要件たる業務上の必要性は配転によって被ることのあるべき労働者の生活上の不利益との比較衡量において判断さるべきであり、労働者の拒否事由としての正当事由もまた右と相表裏するものとして同一観点に立って考慮すべきものであって、被告の利益に比し従業員の被る不利益が著しいというような利益衡量が権衡を失する場合においては権利の濫用として配転は無効となるものといわなければならない。