ID番号 | : | 03747 |
事件名 | : | 雇用関係存在確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 玉川機械金属事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社が鋳造部門を切り離し、系列会社のメッキ部門と集約して新会社を設立し、右鋳造部門に働く労働者を右新会社へ移したことにつき、その労働者(管理職)の一人が、右取扱いは「出向」にあたるとして、被告会社従業員たる地位を有することの確認を求めた事例。 |
参照法条 | : | 民法625条1項 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 転籍 |
裁判年月日 | : | 1986年4月25日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和56年 (ワ) 4700 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例473号6頁/労経速報1259号16頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣-転籍〕 原告は、鋳造部門の管理職として、同部門を巡る当時の状況やその再建のための被告会社の方針を十分に理解していたものであるから、単に一般の従業員を転社に応じるよう説得するだけではなく、自らも率先垂範して転社し、A会社において鋳造部門の再建に全力を尽くすことが要請される立場にあったといわなければならないし、前記二3の(1)ないし(3)のような出向に準じた取扱いがされるならば、A会社の経営に不安があったとしても格別の不利益を被ることもないのであるから、転社であれば了解しなかったというのは理解し難いところである。そして、原告は転社の辞令に従ってA会社に移り、以後今日に至るまで被告会社から給与及び賞与の差額支給を受けてきているというのであるから、原告は、仮に転社に積極的に同意したことはないとしても、少なくとも黙示的に転社に同意しているものといわなければならない。 もっとも、(証拠略)及び原告本人尋問の結果によれば、原告は昭和四六年ころから、A会社の歴代社長を通じ、被告会社に対して原告の身分関係を明らかにするよう度々申し入れていることが認められる。しかし、同証拠によれば、これは、原告がA会社の社宅への入居を申し込んだ際に被告会社の基準による額よりも高い社宅料を支払うべきことを告げられたのに端を発し、その他原告が被告会社の行う永年勤続表彰の対象とされなかったことなどがあって、原告が被告会社の従業員と実質的に同じ取扱いを受けていないことに不満をもったためであって、原告がA会社に移って勤務していること自体に異議を述べているわけではないことが認められるから、原告が被告会社に対しこのような申し入れをしているからといって、転社に同意していないものとすることはできない。 |