ID番号 | : | 03750 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 浴風会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 養護老人ホームの寮母の気管支喘息等罹患に伴う配転問題をめぐる紛争に関連して、右寮母が再三の診断書提出命令に応じないことを理由としてなされた懲戒処分(減給、出勤停止)の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1986年5月21日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和55年 (ワ) 8335 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例475号6頁/労経速報1265号8頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 原告の健康状態を正確に把握して適切な措置を講ずるため再三にわたり原告に対し診断書の提出を求めたことは、最終の診断書の記載内容もあって、原告の健康管理につき責任のある使用者としての被告としては当然であり、これを前提とする限り、原告がかたくなにその提出を拒否し続けることは業務命令に違反しているものといわざるを得ないが、他方確認書と和解協定書の理解が被告と全く異なり、前記のとおり理解していて、そのことにつき合理的理由があるものと認められる原告としては確認書、和解協定書の存在を理由として診断書の提出を拒否することも同様合理的理由があるものというべく、かかる状況にあっては被告においてさらに双方の理解を一致させるための努力をなすべきであって、とりわけ確認書の作成につき相当の責を負うべきであるから、これをなすことなく一方的に原告の非を責める結果となるような本件各処分を、しかも和解協定書成立後六か月という一方的判断のもとになしたことは、被告の就業規則の定める制裁事由が存しないにかかわらずこれをなしたものというべく、いずれもその効力を生ずるに由なく、これが有効であることを前提とした未払給与も支払うべきものというべきである。よって、本件各処分は爾余の点について判断するまでもなく無効であるというべきである。 |